BRANDING TAILOR

BLOG

2018/05/21
どうして本を読む必要があるのか(4)
筆者:-

弊社では、週1冊、なんでも良いから本を読む、というノルマを私を含め

ディレクターたちに課しています。

読んだ本はこちらで紹介しています。

CREATIVE LIBRARY

 

なぜ本を読むのか、というテーマでブログを書いています。

【どうして本を読む必要があるのか】
1回目:本を読むの理由:ビジネス

2回目:読んでどうする? それはコンバージョン

3回目:読んだ後にすべきこと(1)=行動

テーマ:どうして本を読む必要があるのか
4回めの今回は、

 

「読んだ後にすべきこと2つめ」

 

読書の一番の敵は、意外にも「教養」という言葉です。

教養を身につけるための読書、と考えた途端に

本を読んでいるだけでなんとなく、

徐々に教養が身についているはずだ、と思えてきます。

よって読書量が増える=教養が増える、と

勘違いしがちです。

なぜなら、ただの読書は、得たはずの

「教養」は取り出すことが、うまくできません。

 

例えば、

わたしは、「ムーミン」で有名なトーベ・ヤンソンの短編集を読んだことがあります。

そこになんだか素敵な言葉がありました。

何にもしない甘美さ」という意味だったことまでは覚えていますが、

それが、元の言葉で何と言うのか(耳慣れない言語での表現がルビで打たれていました)、

思い出せません。

引用するなら、そこが大事なのに。

しかも、その言葉、ジュリア・ロバーツ主演の映画にも出てきたと、

誰かのブログで紹介されていましたが、

その映画のタイトルも忘れてしまっています。

私が、「トーベ・ヤンソンの短編集を読んだ」ということと

「そこから(誰かにきちんと何かを伝えられるレベルの)教養を得た」ということは、

こんなふうにイコールで結べないのです。

ということで本題になります。

本を読んだあとにすべきこと2め。

それは、

ストック。

このテーマのブログ、2回めでコンバージョンの話を書きましたが、

読書で得た知見は、アイデアや企画や行動に変換する必要があるわけですが、

その際、

その知見をできるだけ正確に引き出さなければなりません。

で、ないと、

「トーベ・ヤンソンが、何もしない甘美さという表現を短編集で使っていた」

ということしか言えないわけです。

(補足ですが、何もしない甘美さの表現を正確に思い出すだけでは、

コンバージョンに至りません。何かを掛け合わせて新しい価値を創造する、

または、抽象して、自分なりの仮説を作るなどの行動が必要です。

しかしここではそれらを端折って、まずは「ちゃんと思い出す」ということの

重要性をお話したいと思います。)

 

そこで覚えておきたい知見、言葉、文章を、ストックします。

具体的にはEvernoteを使います。

面倒なんですが、気になった箇所を5分から10分くらい使って

書き写します。

読みながら、気になった箇所をマークしたり、メモしたりします。

それを読後、再び読み返して、Evernoteに書き写します。

全部書き写すのはよくありません。

なぜなら、「書き写す」という行為に疲れすぎてしまうから。

書き写しが大変だと、習慣化しなくなってしまいます。

まったくしなくなるくらいなら、

5箇所だけ書き写して済ます、ほうが断然良いわけです。

さて、ここでトーベ・ヤンソンの短編にあったこの言葉を

「引き出し」てみます。

Evernoteを使って、

「ヤンソン」で検索してノートを見つけます。

短編集のタイトルは「旅のスケッチ」でした。

そこには、こう書かれていました。

トーベ・ヤンソン

なにもしない甘美さ
ドルチェ・ファール・ニエンテ

“Dolce far niente”

イタリア語

ジュリア・ロバーツ主演の「食べて、祈って、恋して」

そう!

ドルチェ・ファール・ニエンテ!

毎回、紹介している山口周さんの
『読書を仕事につなげる技術』(https://brandingtailor.jp/bt_library/dokushowoshigotoni/)ですが、
この本では、

このストックする行為を
「イケスに入れる」と表現しています。

釣った魚=読書によって得た知見、
魚を使った料理=アイデアや企画などの具体的な行動

というわけです。
この魚を冷蔵庫に入れる、というのが脳に保存する、という行為に該当します。

いれておくうちに
賞味期限が迫り、腐ってしまいます。
これが忘却です。

使えなくなってしまうわけです。

そうならないように
常にピチピチにしておく。
これがストックです。

よって、面倒ですが、
5分とか10分を使って書き写すわけです。

これ、kindleを使うとけっこう楽です。

kindleには、マークした場所をブラウザで
一覧にして見せてくれる機能があります。
(メモも残せるんですが、入力がスムーズにはいきません。
このあたりは、本に直接ペンで書き込むという行為に
一歩先を譲るところです。)

それのみならず、「kindleで開く」というオプションまであり、
該当箇所を一気に読み返すこともできます。

そんなわけで私はできるだけ、
今のところkindleで読んでいます。

しかし佐藤優さんは、
基本的に本で読まれているそうです。

(参考:佐藤優「勉強法」

彼は、すべてを1冊のノートに集約して書き写しています。
佐藤優さんの場合、月90本の締め切り、複数の大学の講義、
その他、著書の執筆のための原稿書き(400字×1200枚)
という超過密な日々を送っています。
その為、冷蔵庫が巨大なうえに回転のはやい消費をしているのでしょう。
更新がはやいため、脳内にある知識は、新鮮さを保ち続け、
かつ、休むこと無く料理を続けている、と考えられます。

わたしには無理なので、
もっぱらkindle&Evernoteで外部に依存しています。

そんなわけで次回は、
「kindleのススメ」というテーマで
kindleの良いところを、不便なところも交えて
ご紹介したいと思います。

 

【今回ご紹介した本】

トーベ・ヤンソン「旅のスケッチ」

ムーミンのようなファンタジーは一切なく、淡々とした世俗の短編集。

これが面白くないか、といえばなんとなく面白く、

どう面白いのかといえば、描写される見慣れない光景が

不思議と脳に定着して、自分がいつだか不明の時代に

実際に体験した記憶かのような錯覚が発生するところです。

また、このような「手習い」とも思える短編集から

ムーミンシリーズに至る作者の軌跡を想像するのもまた一興です。

 

•佐藤優「勉強法」

忙しいのにどうしてこう情報量の多い著作を出版し続けるのか

と一瞬思うも、削ぎ落とす時間を端折っているからかと独り合点しました。

しかし、書かれていることの含蓄の深さや重要性によって

無駄に多い文とは思えないわけで、そこらへんが

佐藤優的、と感じ入るところでもあります。

まずは池上彰さんとの対談などから始めたほうが、

読みやすいと私は感じました。

得るところは大です。