他者から間違いを指摘されると、逆にますます信念を深める傾向
をバックファイア効果と言います。またはブーメラン効果とも呼んでいます。バックファイアとは、英語で「しっぺ返しを食らう」とか「裏目に出る」という意味。ちょうちなみに「しっぺ返し」は、英語で「Tit for tat」とも言います。
ダートマス大学(Dartmouth College)のブレンドン・ニャン(Brendan Nyhan)教授とエクセター大学(University of Exeter)のジェイソン・レイフラー(Jason Reifler)教授が提唱するもの。2010年の200人のアメリカ人を対象とした研究結果。こちらが論文です。
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11109-010-9112-2
調査は、大学生200人を対象に「イラク戦争の是非」をとう質問を2つのグループにするという内容。一つのグループには「大量破壊兵器はみつからなかった」という情報を加えています。するとこの情報を聞かされたグループのほうが多くイラク戦争を指示しました。
一方で、イギリスの慈善団体Full Factに以前いたエイミー・シピット(Amy Sippitt)氏は、この「バックファイア効果」を疑問視しています。シピットは、ハイオ州立大学のトーマス・ウッド助教授(Thomas Wood)とジョージ・ワシントン大学のイーサン・ポーター助教授が2018年に発表した検証実験を論拠としてニャン氏らのバックファイア効果を「対象が少なすぎたことと設問がアメリカ人にとって非常に政治的すぎた」ことを指摘しています。
ウッド氏らの検証実験では、1万人を対象に52の質問をしてバックファイア効果を再現しようとしましたが、ほとんどバックファイア効果が見られませんでした。
こちらがその論文。
個人的な肌感覚としては実在しそうなバックファイア効果ですが、再現性がなかったという指摘がされています。ただエイミー氏はファクトチェックの団体にいたときにこの主張をしていて利害があるため、彼女の主張というよりは再現性がなかったという研究結果のほうに注目しておきたい。
結論しては、バックファイア効果ってのがあるぞ!とまだ言えそうにありません。無いとも言えないんですが。
なので対策や応用までは紹介できない認知バイアスです。
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エイミー・シピット氏らによるレポート