認知バイアス大全№117の「チアリーダー効果」を紹介します。
英語では「Cheerleader effect」。グループアトラクション効果( group attractiveness effect)とも呼ばれます。
チアリーダー効果とは、集団内にいると個人でいるときより魅力的に見える認知バイアス
「チアリーダー効果」という言葉は、『How I Met Your Mother』というテレビドラマ(2008年)で造られた言葉です。ドラマのなかのバーニー・スティンソンが、彼の友人のことを集団なかにいるときは魅力的にみえたのに、個人でみてみるとぜんぜん魅力的じゃなくなったと指摘します。
池谷裕二氏いわく、認知バイアスとは「脳が効率よく働こうとした結果、副次的に生じてしまったバグ」。進化において獲得した「なんとなくこうしておいたほうが良さそう」という行動傾向が、ケースによっては合理的ではない行動をしてしまう偏りです。これをまとめているのがのが認知バイアス大全マガジンです。
一覧はこちら。チアリーダー効果は№117。
ドリュー・ワーカー(Drew Walker)とエドワード・ヴル(Edward Vul)による調査(2013年)などでチアリーダー効果は裏付けられています(※1)。
25人と対象数が少ないのですが、ワーカーたちの研究では、個別にみたときより集団内にいる姿のほうが魅力的だと評価したことがわかりました。このチアリーダー効果は、男性のみ、女性のみ、男女混合、小グループ、大グループなどで発生しています。(アイドルグループが女性にも男性にもあるわけですね。)
2015年の追試調査でもチアリーダー効果を支持する結果となりました(※2)。
2015年の九州大学における検証ではチアリーダー効果を確認できなかったようです(※3)。
日本語の記事で、チアリーダー効果を「「女性を前にすると男性の行動が積極的になる」ことと説明しているものがありましたが、論拠をウォーカーらの研究としていますが、ウォーカーらの論文からそれを意味する説明は見当たらず(※1)。ウォーカーらでではない研究を論拠としたものはウォール・ストリート・ジャーナルにありました。
この記事の論拠はスタンフォード大学のロバート・サポルスキー(Robert Sapolsky)教授の研究(2008年)で、その内容は「男性は女性の前で行動を変える」というもの。
どうもサポルスキー氏の研究結果を「チアリーダー効果」としているのはGigazineとThe Wallstreet Journalであって、サポルスキー自身がそう名付けているわけではなさそうです。(※4)
生物学的にみた人間の最善と最悪の行動傾向がテーマ。これから読んでみます。
集団にすれば魅力的になるのでアイドルはグループ化すると良いかも。アイドルに限らず、芸人もグループにすることで個人の魅力は増すかも。
ただしチアリーダー効果はひとりにすると魅力が減るので、個人で利用するのは難しい気がします。
グループ化することのメリット、「卒業」することのデメリットをこのチアリーダー効果から学べそうです。
「推し」という文化?も集団のなかの誰かを選ぶという意味では、チアリーダー効果の影響を受けたものかもしれません。おもしろい!
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