人間には朝型、夜型、その中間の3タイプがあり、これは遺伝子で決まっています。これをクロノタイプ(Chronotype)といいます。それぞれに時間帯によって得意とする活動内容があります。たとえば学生は総じて夜型になっていく傾向があるのですが、にもかかわらず学校は朝から授業やテストを行うわけですが、ベストではない時間ではパフォーマンスは低下します。こういったパフォーマンスの最適な時間との差を「ソーシャル時差ボケ(Social Jet Lag)」と呼んでいます。2018年の研究(※1)に依ると50%の学生がこのソーシャル時差ボケのためにパフォーマンスを発揮できていなかったことがわかりました。では、彼らのベストな時間帯に寄せるとパフォーマンスは向上するのでしょうか。結果は「イエス」。テストの時間を1時間遅らせただけで成績が全体的に上がったという研究結果があります。
ということは、出社時間を一律にして朝早い時間にすると通勤ラッシュで疲弊するということ以外にベストなパフォーマンスが発揮できない社員たちが発生してしまうことになります。では夜型のひとたちってどれくらいの割合でいるのでしょうか。
朝型、夜型、普通型の割合です(※2)。
朝型:14%
普通:65%
夜型:21%
夜型は21%で朝型のひとより多い。つまり朝の出社時間が早い企業においては、社員の21%が本領を発揮でない状態になっています。では夜型の人、朝型の人では、どんな時間にどんな仕事をすると良いのでしょうか。
source: How to time your day for peak performance, based on your chronotype
これがクロノタイプ別仕事の内容と最適時間の表です。Larkが朝型、Third Birdが昼型、Owlが夜型です。クロノタイプごとに仕事の種類によって最適な時間を示しています。仕事の種類は①分析的な仕事、②直感的な仕事、③印象を与える仕事、④決断をする仕事の4種類。表を翻訳するとこうなります。
朝型の場合のベストタイム
①分析的な仕事→早朝
②直感的な仕事→午後遅くから夕方早め
③印象を与える仕事→午前中
④決断をする仕事→早朝
昼型の場合のベストタイム
①分析的な仕事→朝早くから昼にかけて
②直感的な仕事→午後遅くから夕方早め
③印象を与える仕事→午前中
④決断をする仕事→朝早くから昼にかけて
夜型の場合のベストタイム
①分析的な仕事→午後遅くから夕方にかけて
②直感的な仕事→午前中
③印象を与える仕事→午前中(夜型には大変だと思うけど)
④決断をする仕事→午後遅くから夕方
でも自分のクロノタイプってどうやったらわかるのでしょうか。遺伝子検査するの大変。これがけっこう簡単にわかります。20分くらいかけて質問に答えるだけでわかります。
こちらの質問(日本語)に答えるだけでだいたいあなたのクロノタイプがわかっちゃいます。所要時間は20分程度です。
「MCTQに答えてクロノタイプを判定する」をクリックして質問に答えていってください。あなたのクロノタイプがわります。わたしは朝型で、妻は夜型でした。
この結果にしたがって、わたしたち夫婦は、活動と時間を調節しました。妻は夜型なので好きなだけ寝ています。起きてくるのは8時から9時ごろ。わたしは朝型なので、夏なら外が暑くない早朝に犬の散歩をしたり、ジョギングをして、コーヒーを淹れています。クロノタイプがわかるまで、妻は夜型なのに無理して朝早く起きて、いろいろしてくれていていましたが、タスクがいくつか終わると2時間くらいソファでぼうっとしていました。かわいそうに。
クロノタイプがわかると、ソーシャル時差ボケを避けて、自分のパフォーマンスが最高になる時間を選択して仕事をすることができます。経営者なら、社員全員に朝に出社させる必要はありません。そういう会社がブラジルにあり、業績を伸ばしまくっています。セムコという会社で、経営者は、リカルド・セムラーという方です。セムラー氏の著書と動画です。
全社員、同じ時間に出社し、残業するのが勤勉化の証という考え方は、きぶんだけ全速力の組織で、その生産性はむしろ低下していくようです。ミュンヘンクロノタイプ質問表を使って、クロノタイプがわかったらベストなパフォーマンスを発揮できる時間たちで働くのが良さそうです。
※2
タイミングについての科学的知見をまとめたもの。これを読むと病院には午前中に行くようになります。
※3 How to time your day for peak performance, based on your chronotype
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