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2021/06/03
知識の呪い(Curse of knowledge)
筆者:-

「リズムを鳴らす人」と「リズムを聴く人」の曲名当てクイズ

「ハッピーバースデー」のように誰もが知る曲を当てるゲームをした実験がありました。実験では二人ペアになって、1人は「リズムを鳴らす人」、1人は、「リズムを聴いて当てる人」です。リズムを鳴らす人たちは、平均50%くらいは、その曲を当てられるだろうと予想しました。しかし実際に当てられたのは2.5%程度でした。リズムで曲を当てるのはとても難しいのです。ただしその曲を知っている人は、リズムをとりながらリズムを聴いている人も、その曲を聴いているような感覚になるのです。

これは、1990年ごろのスタンフォード大学のElizabeth Newtonという学生が行った「Tapper and Listener」という実験でした。これは、「知識の呪い(The curse of knowledge)」と呼ばれています。

知識の呪い

知識の呪い(The curse of knowledge)とは、

自分の知っていることは、他の人も知っていると思い込む傾向

です。例えば学校の先生は「これくらいはきっとわかるだろう」と考えて問題を設定しますが、このとき自分の知識をベースにして考えてしまいがちです。先生なのでもちろんその科目の知識を熟知しているわけですが、そのため、その知識がない人の感覚をうまく想像できなくなります。これと同じことがビジネスの様々な場面で起こっています。説明をするときに相手も知っているだろうと考えて無意識に使う専門用語や略語の数々。デザイナーとクライアントの間にもよく発生します。ちなみに専門用語を多用すると頭が悪く見えます

「知識呪い」は、1989年に生まれた言葉

「知識の呪い」という言葉は、経済学者のコリン・キャメラー(Colin Camerer)、ジョージ・ルーヴェンスタイン(George Loewenstein)、マーティン・ウェーバー(Martin Weber)による1989年の『ジャーナル・オブ・ポリティカル・エコノミー(Journal of Political Economy)』の記事で造られました。

価格設定にも現れる「知識の呪い」

情報の非対称性、つまりあることについて一方は熟知しており、もう片方はその情報が不足している状態のとき、知識の呪いによる弊害が発生します。価格設定をするときに、情報の豊かな方が価格を設定した場合、コストや手間暇や工夫がなされている商品の価格は高く設定されますが、受け手はその情報を知りません。お気をつけあそばせ。(わたしも気をつけよう)。

対策・応用

「知識の呪い」の弊害を減らすには、自らの盲点を第三者を使って検証するというプロセスを設定することです。自分の専門外の誰かに説明し、不明点を伺う、というのが確かな方法でしょう。その手間を省けないときは、自らの手でプレゼンテーションについて、何も知らない人間として接してみると言うことです。そこに専門用語は含まれていないか、自分が常識だと思っているが、多少は常識だと思わないであろう事事はないか、をチェックするだけでも知識の呪いが少し解けることでしょう。

認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。

 

参照

※1:HBR “The Curse of Knowledge”

※2:Curse of knowledge

※3:こんなことは知っているはず -知識の呪い

※4:The curse of knowledge: how it impacts you, and what to do about it