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2021/06/03
世界は悪化していると考える「凋落主義(Declinism)」
筆者:-

凋落主義

凋落主義(ちょうらくしゅぎ)(Declinism)とは

社会や組織が凋落しつつあると考える。過去を美化し、将来を悲観する傾向

です。認知バイアスのひとつではありません。認知心理学的にその傾向が系統的にみられたというものではなく、文学の歴史を振り返り、認められた傾向。しかし「バラ色の回顧録」という認知バイアスとは関わりがあります。「バラ色の回顧録」とは、過去の出来事を、その時点での評価よりも良い評価の記憶として思い出す傾向です。

アメリカ合衆国のエッセイスト、アダム・ゴプニック(Adam Gopnik)によれば、「凋落主義の頂点は、1918年、ドイツの歴史家オズワルド・シュペングラー(Oswald Spengler)のベストセラー『西洋の衰退』の中で確立された」ということです。

なぜ起こるのか?

認知バイアスのひとつ、ポジティブ効果というものがあります。これは、「高齢者が記憶の中でネガティブな情報よりもポジティブな情報を好むようになる傾向」です。これにより記憶のなかでポジティブなものが多くなり、相対的に現在や未来をネガティブに捉えるようになる。これが凋落主義が発生する原因と考えられています。

凋落主義の機能

「未来が悪くなっている」と感じることで、悲劇を未然に防ぎ、より良くする動機を形成するという機能が、凋落主義にはあると考えられています(Alan W. Dowd)。その一方で、凋落を感じることで凋落に惹かれていく傾向もあるという指摘もあります(Josef Joffe)。

実際に世界は悪化しているのか

「悪化していないよー」と考えられる情報のほうが多そうです。さまざまな面で世界はより良くなっていることを提示しているのが、日本でも話題になっている『ファクトフルネス』という著書。データベースの主張です。著者のひとりはすでに亡くなっていますが、彼の明るい筆致には感動を覚えました。

わたしからもひとつ「世界は悪化してない」という事実をお見せしたいと思います。それがこちら。

スクリーンショット 2021-06-03 9.21.08

世界の自殺者数の推移です。ずーっと減ってきています。日本もおおむねこの傾向に沿っています。

対策・応用

「確かめてみる」

『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ氏の『ホモデウス』も凋落主義の傾向があるように感じました。と同時に必要な警告とも捉えられましたが。

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来 www.amazon.co.jp

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人間には損失嫌悪というものがあり、得をすることより損をすることを強く避ける傾向があります。栄えることよりも死なないことのほうが重要なので当然の傾向です。これが人(動物もですが)が、不確かなことに対してネガティブに捉える理由です。「カサカサ」という音が草むらからしたとき、トラかも!?と不安に思ったほうが、生き延びやすい。トラじゃなくても「なんだー」で済みます(得点:0)が、トラの場合は「得点:-100」で、デッドエンドです。ほどよく警戒しておきたいのが生き物の特性です。それに引っ張らせすぎて、世界はどんどん悪化すると思うと憂鬱になるので、気になるときは確かめるのが一番です。その点、『ファクトフルネス』は、おすすめです。

認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。

関連した認知バイアス

•バラ色の回顧 (Rosy retrospection)
過去の出来事を、その時点での評価よりも良い評価の記憶として思い出す現象。

•ポジティブ効果(positivity effect)
歳を取るにつれて、記憶の中のネガティブな情報よりもポジティブな情報を好むようになる傾向。

•ネガティビティ・バイアス (Negativity bias)
ポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が、行動に強い影響を与える傾向。

参照

※1:Declinism

認知バイアス一覧で社会心理学入門

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