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2021/01/28
ビジネスに使えるデザインの知識(10)可愛くて良く見かけるCooper Blackは1922年アメリカ生まれの書体
筆者:大田忍

スヌーピーのイラストが入ったマグカップに入ったコピー(文章)、アート引越センターの「the」の部分、さまざまなアルバム・ジャケットのタイトルなど、いろいろな場所でみかけるこの太くて丸くてかわいいけど、長生き。時の洗礼に100年近く耐え抜いたこの書体の名前は、

Cooper Black

Blackというのは書体におけるファミリーといって太さを表す言葉で、ざっくりいうと「超太い」種類を表しています。他の太さもあったんですが、これがすごく人気になって、これBlackを含めて、ひとつの書体として認知されるにいたっています。

生まれは1922年、アメリカ。ジャズで言えば、チャールズ・ミンガスが生まれた年です。生みの親は、オズワルド・ブルース・クーパー(Oswald Bruce Cooper)(1879–1940)。書体デザイナーであり、グラフィックデザイナーでもありました。文才もあり、コピーライティングも依頼されるほどでした。ただし自分のデザイン会社の仕事にのみコピーを書きました。

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オズワルド・ブルース・クーパー(Oswald Bruce Cooper)
(By Ailigean – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48910381)

表現するのは、アメリカらしさと少し古い印象(20年代〜70年代あたりか)と可愛らしさ

Cooper Blackがどんなところで使われているかを観てみましょう。

たとえばこんな犬用の乾燥ドライヤーツール。ちょっと欲しい(笑)。

かと思いきや、なかなかセクシーな映画のポスターにも。

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Source: https://www.ebay.com partners65 (edited). License: All Rights Reserved.

あの『エマニエル夫人』です。なんとなく「なるほどね」と思える使いかたですね。ピンク的なニュアンスが黒バックなのに表現できています。

1968年の写真展にも使われていました。

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2. Exposition Mondiale de la Photographie. La Femme. Layout: Peter Jürgen Wilhelm. Gruner + Jahr, Hamburg, 1968
Image sources: citynightsbooks, Umbras Kuriositätenkabinett

ジェームス・ブラウンの『Goodbye My Love』のジャケットタイトルもCooper Blackでした。

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Source: http://www.45cat.com License: All Rights Reserved.

アメリカのオフィスファニチャーブランド、ハーマンミラーの1986年のポスターにも使われていました。サマーピクニックらしさを体現するために使われたのでしょう。

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Source: http://www.flickr.com Photo by Kenny K (Kinzko). License: All Rights Reserved.

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Source: http://www.flickr.com Photo by Kenny K (Kinzko). License: All Rights Reserved.

なかなか大胆な使い方をしたものもありました。

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Source: http://www.behance.net License: All Rights Reserved.

Lucky 8というメキシコシティと香港に拠点を持つコンサルティングファームのロゴです。8の部分がCooper Black。ちなみにLuckyの部分は、Reklame Scriptという書体です。

ちなみに冒頭で例にあげたスヌーピーのFire Kingはこんな感じ。

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source: https://www.ebay.com/itm/Vtg-1965-Snoopy-Red-Baron-Coffee-Mug-Cup-Fire-King-Anchor-Hocking-Schulz-Peanuts/124232348474?hash=item1cecd3333a:g:FJkAAOSwVpRe55K1

書体のカテゴリ:セリフ体

欧文書体には、いくつかの種類があります。セリフ、サンセリフ、スラブセリフ(エジプシャン)、スクリプト、ブラックレター等々。また書体は時代を反映もするので、古い時代を舞台にした映画では、その時代に会った書体が劇中やタイトルに使われます。逆にその時代に無い書体は使わないように専門家がコンサルティングしていることが多いです。

例えば、2013年公開のバズ・ラーマン(Baz Luhmann)監督による『The Great Gatsby』

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source: https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTQhPSXoieg8HXbxlUX3CuqC6RU9AR0A5_T0pShK_gkeH-fiXUA

このタイトルに使われている書体は、Atlasという書体です。Fatima Versalienという書体を2013年にリファインしたものですが、Fatima Versalienは1931年にデザインされた書体で、当時の流行を反映しています。

まとめ

わたしたち、日本人はなかなかその背景を知らないまま、接することが多い欧文書体ですが、こんなふうに時代やニュアンスなどが多く深く含まれていることが多いです。グラフィックデザイナーは、そのあたりを知って使うのは当然なんですが、詳しくない方もいるので、デザインを依頼したときには、提案されたデザインの欧文書体の種類を使う理由を尋ねてみてもいいかもしれません。

 

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