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2020/01/21
【良いモノ・アーカイブ】№34 l’Officine Universelle Buly(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)_香水
筆者:大田忍

出典:オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーオフィシャルサイト

ヘリテージのリビルドの最高例、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー

ファッションにけっこう詳しくても、香水にもけっこう詳しくても知らない方もいるかもしれない新興のブランド、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー。

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー公式サイト

 

概要

ブラシや櫛、フレグランスキャンドルなども扱っていますが、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、とりあえず「香水のブランド」と一度認知して良いでしょう。

歴史ある老舗の感がありますが、そして「創業1803年」という表記もあったりしますが、一度たち消えたブランドを2014年に復活させたブランドです。

それからまたたく間に本拠地のパリ以外に、香港、サンフランシスコ、京都、ロンドン、東京、ソウル、台北、大阪に店舗を構える急発展を遂げているすごいブランドです。

まずは、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの特徴を3つ、紹介します。

 

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーとはどんなブランドか? 水性、本物感の醸成の妙、「かわいい」プレゼンスの強さ

 

水性

「香水なのに水性!」ってどういうこと?かわからないのですが、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの香水は、アルコールやエタノールを含まない水性香水です。着けても肌や髪が乾燥したり、傷んだりしません。なのに香りは長持ちしますし、天然香料を使っているので香りの質も高い。

 

本物感の醸成の妙

「本物」の定義ですが、雑になりますが「ちゃんとしていること」と「ちゃんとしようとしてきた歴史」をあわせたものとします。その意味で、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、「本物」であろうとするブランディングがすごく徹底してされています。まずURLにも含まれていますが「1803」という数字。もともと1803年創業のJean Vincent Bully(ジャン=ヴァンサン・ビュリー)というブランドがありました。当時はBullyとLが2つある名前で、そのBullyは、香水と香り酢の調香師で人気を博していました。

「香り酢」とは、Vinaigre de Toilette(ヴィグネトワレ)で、18世紀のフランスで、婦人たちの気付けとしても機能していた香りがついたお酢で、コルセットなどして気が遠くなりそうなときに嗅いだり、  シェービングの後やシャワーの後に肌や髪につけられていたものです。※1

DiptyqueからもVinaigre de Toilette(ヴィグネトワレ)は出ていて、作られたきっかけは、創業者たちが、チャイコフスキーの家を訪れたときにテーブルのうえにVinaigre de Toiletteがあったことを見留たことでした。

 

Diptyque VINAIGRE DE TOILETTE
55€

 

関連 【良いモノ・アーカイブ】No.12 香水・キャンドル Diptyque/ディプティック

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この18世紀後半に生まれたブランドは、リブランドされるころには経ち消えていたのですが、それを復活させて今まで以上のブランドに成形したのが、創業者のラムダン・トゥアミ(ラムダン・トゥアミ)※2 と彼の妻であり、クリエイター、ビューティ雑誌「コルピュス」の編集長でもあるヴィクトワール・ドゥ・タイヤック。

まずラムダン・トゥアミがすごい。

このウィキペディアの説明をみるとわかるのですが、一言でいうと「多才」。 a multi-disciplinary and polymath entrepreneur(広く深い博学のアントレプレナー)と呼ばれており、ファッションデザイナー、プロダクトデザイナー、DJ、実業家でありジャーナリスト。それでいて、けっこう飄々としています。こちらのYoutubeをみてもらえるとトゥアミの雰囲気がわかると思います。

 

ホームレスも経験しているので(笑)、怖いものが無いと。

 

トゥアミ氏は、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーのまえに、1643年創業のパリの老舗蝋燭店、CIRE TRUDON(シール・トリュドン)のリブランドに成功し、蝋燭店からホームフレグランスブランドとして復活させています。

 

https://trudon.com/eu_en/

CIRE TRUDON(シール・トリュドン)

on wikipedia

 

そこで得たノウハウを拡張するように、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーをリブランドしています。彼の妻のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックもビューティ界でカリスマとして活躍しています。

 

Voguegirl 知りたい! パリジェンヌの秘密:Vol.6 フランス人が考えるセクシーの定義とは?

https://voguegirl.jp/fashion/trend_fashion/20171027/the-secret-of-parisiennes-6/#!/g/1/1/

 

ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックとラムダン・トゥアミ

出典:オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーオフィシャルサイト

 

良質なヘリテージ(遺産)をどう現代の空気と潜在的ニーズにフィットさせるか?という課題の解答に長けた二人が、リブランドしたオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、またたくまに世界に30店舗以上展開するブランドに成長します。

 

プロダクトとパッケージ

本物らしさをうまく醸し出しているのは、彼らの作り出すプロダクトとパッケージ。

出典:ファッションプレス

 

創業が2014年にも関わらず、歴史が深そうな出で立ち(実際にある意味深い歴史を持っている。それも資産としている)、そして質。「っぽい」んじゃなくって、本物になっているところがすごい。

 

 

カリグラフィー

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーでは、購入した顧客に、名前やメッセージをカリグラフィーで書き記してくれます。カリグラフィーは、スタッフがカリグラフィーのマイスターであるブルーノ・シガレル氏に習い、日々鍛錬して、その精度を研鑽しています。この本物らしさ!

 

すごいし、嬉しい!

 

 

「かわいい」プレゼンスの強さ

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出典:New In : OFFICINE UNIVERSELLE BULY

オーセンティックなのにかわいい煩雑さすらあるこの意匠。18世紀のアートや広告についての造形のみならず、日本やおそらくイタリアのアートへの造形も深い。それをプロダクトやパッケージのデザインに反映しているのですが、乱暴な日本語ですが「かわいい」のです。本物なのに乙に澄ましていない可愛らしさ、でも店舗はまたさらに興味深いデザインになっています。

 

 

パリの老舗ホテル、オテル・ド・クリヨンのアメニティに使われています

写真の説明はありません。

 

 

 

 

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの店舗

(写真は、すべてオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーオフィシャルサイトより)

ボナパルト店

PARIS
ボナパルト店

 

マレ店

PARIS
マレ店

 

SELFRIDGES店

LONDON
SELFRIDGES店

 

 

代官山店

TOKYO
代官山店

 

 

NeWoman新宿店

TOKYO
NEWOMAN新宿店

 

統一されているわけでもなく、それでいてブランドを損なうことのない絶妙さ。トゥアミとヴィクトワール・ドゥ・タイヤックは、広く深く得た知見を編曲するように様々なフェーズで組み合わせつつ創造しています。すごい。

 

 

 

主な商品と価格

(写真と価格はオフィシャルサイトより)

 

香水

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オー・トリプル
ミエル・ダングルテール
19,250円(税込)

 

 

スキンケア

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レ・ネトワイヤン
5,830円(税込)

 

 

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THE TRADITIONALIST – THE PATER FAMILIAS(ロングストレートヘア用ファミリーコーム)
7,700円(税込)

 

ホームフレグランス

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BOUGIE ODORIFÉRANTE SACRE
€130.00

 

 

 

ロゴ

出典:オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーオフィシャルサイト

 

 

まとめ

WWDのラムダン・トゥアミへのインタビューの中で、トゥアミ氏は、「何を提供したい?」という問いにこう答えています。

僕が提供したいのは「Wow !(驚き!)」

素晴らしいサービス」「素晴らしい商品」「なんてすごい空間」––そう思ってほしい。家に帰って試して「Wow!なんていい香り!」「すごく肌の調子がいい!」とか、街ですれ違ったときやボーイフレンドと一緒に寝るときに「Wow!すごくいい香り!」と思ってほしい。

と。

また、マーケティングはしないという話の中で、こんなことも述べていました。

紙も大好きで、1枚の紙を見るだけですごく興奮していろいろな想像が働くし、紙のことをしゃべり続けられる。ビンテージの高価な本もたくさん買うし、ビジュアルだけじゃなく哲学や文学が好きなのでひたすら読んで吸収する。

 

まさにSerendipitiy(セレンディピティ)!

セレンディピティとは、「いつ役に立つかわからないものを集めて、思いがけないときにすごく役立たせる力」です。ところでイノベーションとは、元来「古いもの同士の新しい組み合わせ」の意味。ジェームス・W・ヤングの『アイデアの作り方』にも同じことが書かれていました。

 

 

参照

※1 CYAN A nostalgic fragrance that takes you back to a certain place.

 

※2 Ramdane Touhami
(ラムダン・トゥアミ)on Wikipedia