(出典:エルメス公式ウェブサイト「ペンダント 《アミュレット》 バーキン」589,600円(税込))
エルメスといえば、スカーフかバーキンを想起するでしょうか。
ハイブランドであることは知っていても、その詳細は詳しく知らないかたも多いかも知れません。
創業は、1837年。Thierry Hermès(ティエリー・エルメス)が、パリ9区にあたるバス=デュ=ルンパール通りに開いた馬具工房が始まりです。1879年に工房を移転し、現在はパリ8区に本店があります。
ちなみにフランス語では、語尾のsは、普通発音されませんが(Parisとか)、人名の場合は、発音されるため、エルメスとなります。
ちなみに自動車の普及のきっかけとなったフォードのモデルTが販売されたのは1908年。※3
Thierry Hermès
(出典:Hermés on Wikipedia)
1978年にエルメス5代目の会長に就任したのが、ジャン=ルイ・デュマ。彼が、機上で隣り合わえたイギリスの女優が、ボロボロの籐の籠を使っていて、そこに何でも詰め込んでいるを目にしました。そこでデュマは、彼女に「整理せずに何でも入れられるバッグをプレゼントさせてほしい」と申し出て、既存のオータクロアをベースにデザインしたのがバーキン。(※2)
サイズは、25、30、35、40とあります。
ジャン=ルイ・デュマは、バーキンのみならず、コーヒカップなどのテーブルウェアにも進出して市場を拡大しました。
Birkin
(出典:Jackroad and Betty 「エルメスのバーキンはなぜ高い?」)
正規店で購入した場合の価格。※素材や色で大きく変わります。
バーキン25:約115万円
バーキン30:約130万円
バーキン35:約145万円
バーキン40:約155万円
どうしたこうまで高いのかについては、デュプイ者やアノネイ社などの一流のタンナーと呼ばれる皮革の卸業者から買付しているからと言われています。そしてバーキンは、熟練の職人が最初から最後まで一人で仕上げます。そのため、バーキンには製作を担当した職人のIDが入っています。
ちなみに正規店では、普通に購入はできません。ストックがないため上顧客になって懇意になってから初めて購入できるようになります。
ちなみにグラフィックデザイナーの平林奈緒美さんは、多く所持していたバッグをすべて手放し、黒のバーキンひとつにして使用しています。「なんでも入れられる便利なバッグ」という出自と符合する使いかたで粋です。(※4)
平林奈緒美さんの黒のバーキン(出典:Ginza ※4)
もともとは鞍やサドルに装着する鞄であるサドルバッグを婦人用に改良して1935年に発売していた「サック・ア・クロア」という商品でした。そのバッグを1956年に、モナコ公妃のグレース・ケリーが、パパラッチに写真と撮られたときにサック・ア・クロアを使って妊娠中のお腹をかばい、その写真が世に出回り、商品の認知が高まりました。その後モナコ公国の許可を得て「ケリーバッグ」と改称しました。
ケリーバッグ(出典:Wen-Cheng Liu – Flickr: Listed, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18058526による)
(写真と価格は、エルメス公式ウェブサイトより)
バッグ 《エヴリンIII》 33
¥482,900円(税込)
クラッチバッグ 《ジジェ》 エラン 29
474,100円(税込)
バッグ 《ヴェルー》 チェーン ミニ
2,618,000円(税込)
ポケットチーフ 45 《ポワン・ア・ポワン》
22,000円(税込)
スニーカー 《トレイル》
139,700円(税込)
ペンダント 《アミュレット》 バーキン
¥589,600円(税込)
カレジェアン 《馬着・バンダナ》
163,900円(税込)
By Source, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=17162232
このロゴは、1950年代から使われています。※1
マークは、エルメスが馬具メーカーであったことに由来していますが、馬車(Duc)に乗客がいないのは、顧客が乗客に相当するから。
書体は
HERMÈSの部分は、ドイツのデザイナー、Rudolf WolfによるMemphis のMediumが近いようです。書体の種類としては、スラブセリフ。
デザイナー:Dr. Rudolf Wolf
デザイン年:1929年
PARISは、エリック・ギルのデザインしたGill Sansか。ヒューマニスティックなサンセリフとして著名なデザインで、タグ・ホイヤーやBBC、ロールス・ロイスなどのロゴにも使用されています。
デザイナー:Eric Gill
デザイン年:1928年
Hermésのこのéのうえについている点は「アキュート」または「アクサンテギュ」と言います。アクセント符号で、フランス語の他に、スペイン語、ポルトガル語などで使用されます。戸惑うのは入力方法。Macの場合は、optionを押しながらeを押して、もう一回eを押すと「é」と入力できます。「É」は、shiftを押しながらeを押すだけです。
参照
※3 フォード・モデルT
※4 Ginza Lifestyle 「アートディレクター平林奈緒美さんに聞いた「あなたが尊敬するワーキングウーマンを教えて!」働く女の流儀 #01」