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2020/03/12
【良いモノ・アーカイブ】№56 Antonio Lucio Vivaldi(アントニオ・ヴィヴァルディ)_音楽
筆者:大田忍

(出典:1725年(ヴィヴァルディ47歳)のヴィヴァルディの肖像画。フランス系オランダ人のF.M.ド・ラ・カーヴによる銅版)

『四季』しか知らないんですけど、ヴィヴァルディ。いつのどんな人かをまとめてみました。

アントニオ・ヴィヴァルディについての「へー、そうだったの!?」5選

 

1.ヴィヴァルディの時代はいつ?

ヴィヴァルディはバロック音楽の後期。バロックとは、「いびつな真珠」という意味ですが、系統立てて「バロック音楽」について言及したのは、ドイツ出身のアメリカの音楽学者、Curt Sachs(クルト・ザックス)(1881–1959)で、バロック音楽を「彫刻や絵画等と同じように速度や強弱、音色などに対比があり、劇的な感情の表出を特徴とした音楽」と定義しています。(※1)

クラシック(英語ではClassicalと言います)音楽は、中世西洋音楽→ルネッサンス音楽→バロック音楽古典派音楽→ロマン派音楽、という流れで変容していきます。アントニオ・ヴィヴァルディは、バロック音楽の後期。

ヴィヴァルディは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの20歳くらい先輩。日本では、江戸幕府、第5代将軍、徳川綱吉による為政の時代に生まれています。松尾芭蕉(1644–1694年)の生涯とかぶります。世界史としては1688年にイギリスで名誉革命(Glorious Revolution)が起こっています。

 

 

中世西洋音楽

6世紀から15世紀にかけての音楽。超ざっくり!

 

ルネッサンス音楽

15世紀から16世紀にかけての音楽の総称で、Early music(初期音楽)とも呼ばれています。このあたりから音楽らしくなってきた、という認識があるためです。

 

バロック音楽

16世紀から17世紀にかけての音楽。時代としては、絶対王政の時代と大きくかぶっています。「バロック(baroque)」は、ポルトガル語の「いびつな真珠」を意味するbaroccoが語源。「過剰な装飾」という批判の意味を込めた建築用語でした。

 

(文学)ウィリアム・シェイクスピア 1564–1616 (イングランド王国)

アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ  1678–1741(ヴェネツィア共和国)

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ  1685–1750(神聖ローマ帝国)

古典派音楽

1730年代から1820年代までの、過剰な装飾と言われたバロック音楽から一転、宗教や感情より、悟性、理性を尊重した啓蒙主義を背景とした音楽。

 

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 1732–1809年(神聖ローマ帝国)

(文学)ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 1749–1832(帝国自由都市フランクフルト)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 1756–1791(神聖ローマ帝国)

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 1770–1827(神聖ローマ帝国)

 

 

ロマン派音楽

19世紀の音楽。「やっぱ理性にばっかとらわれず、感情や直感を大事にしたってよくね?」というのがロマン派主義の考えで、それを反映した音楽。ベートーヴェンはその先駆けと言われて、彼以外は、シューベルトが初期ロマン派音楽、シューマン、メンデルスゾーン、ショパンなどが盛期ロマン派音楽に含まれます。後期ロマン派音楽には、フランツ・リスト、ワーグナー、ブラームスなど。

フェーリクス・メンデルスゾーン 1809–1847(自由都市ハンブルク)

フランツ・リスト 1811–1886(オーストリア帝国)

リヒャルト・ワーグナー 1813–1883(ザクセン王国ライプツィヒ)

ヨハネス・ブラームス 1833–1897(自由ハンザ都市)

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 1840–1893(ロシア帝国)

 

 

2. 協奏曲って?交響曲って?その違いは?

ヴィヴァルディは、多くの協奏曲を作っていますし、かの『四季』(本人は『四季』って言っていないけれど。『和声と創意の試み』(Il cimento dell’armonia e dell’inventione)という12の作品の中の最初の4つが、春、夏、秋、冬で、それを総じて『四季』と呼ばれるようになりました。他は?って気になります?それでは後ほど説明します!)もヴァイオリン協奏曲です。

 

協奏曲

イタリア語、英語、フランス語では、Concerto(コンチェルト)。コンチェルトこと協奏曲は、ソロの演奏者(ソリストと言います。)とオーケストラが合奏する楽曲のことです。主役がいるわけです。交響曲よりその出現ははやく 16世紀にさかのぼります。逆に交響曲って新しいの?ってなりますが、ヴィヴァルディが17世紀ですが、交響曲の父と言われるハイドンは18世紀。

協奏曲は、三楽章で構成されています。協奏曲の特徴は、ソリストというだけあって、ソリストがソロで演奏する部分があること。この部分を「カデンツァ」と呼びます。イタリア語でcadenzaと書きます。ドイツ語だとKadenz(カデンツ)です。

映像などでみていると指揮者の他に目立った場所にいる演奏家いる光景を観ることがありますが、あれが協奏曲です。

たとえば、これ。諏訪内晶子さんのメンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲。

 

これが協奏曲です。

 

交響曲

英語で、Symphony。ドイツ語でSinfonie。シンフォニーです。管楽器、弦楽器、打楽器などで構成するオーケストラによって演奏される大規模な楽曲で、基本4つの楽章で構成されています。

第1楽章 速いテンポ

第2楽章 ゆったりとしたテンポ

第3楽章 舞曲のリズム

第4楽章 盛大!

交響曲は、18世紀の中頃に成立しました。(※2)

 

ヴィヴァルディは、フルートの協奏曲も作っていますが、ヴァイオリン協奏曲が多いです。ちなみにヴィヴァルディの作品番号は、RV番号がよく使われています。RVは「リオム」と読みます。ヴィヴァルディの作品数は、800曲以上あります。

 

 

3. 『四季』以外も含めた『和声と創意の試み』

和声とは、「和音の進行、声部の導き方および配置の組み合わせを指す概念」です(※3)。『和声と創意への試み』は、1725年、ヴィヴァルディが47歳のとき発表した楽曲群です。

協奏曲 第1番 ホ長調 RV 269『春』
協奏曲 第2番 ト短調 RV 315『夏』
協奏曲 第3番 ヘ長調 RV 293『秋』
協奏曲 第4番 ヘ短調 RV 297『冬』

協奏曲 第5番 変ホ長調 RV 253『海の嵐』

 

協奏曲 第6番 ハ長調 RV 180『喜び』

 

 

 

協奏曲 第7番 ニ短調 RV 242『ピゼンデル氏のために』

 

協奏曲 第8番 ト短調 RV 332

 

協奏曲 第9番 ニ短調 RV 236 (ヴァイオリン) / RV 454 (オーボエ)

動画はオーボエのほう。

協奏曲 第10番 変ロ長調 RV 362『狩』

協奏曲 第11番 ニ長調 RV 210

 

協奏曲 第12番 ハ長調 RV 178 (ヴァイオリン) / RV 449 (オーボエ)

動画はヴァイオリンのほう。

 

 

4.再評価を受けたのは20世紀に入ってから

ヴィヴァルディの作品は、死後、けっこう忘れされてしまっていまいたが、20世紀に入り、イタリアのイ・ムジチ合奏団(I Musici)によって1955年に『四季』を世界で初めて録音され、このレコードが大ヒット。これによって現在誰もがその名を知るほど有名になりました。脈々と評価されていたわけでなく、ヨハン・ゼバスティアン・バッハと同じく、ほとんど忘れ去られていた時期が長くありました。

イ・ムジチ合奏団の公式サイト

 

 

5. アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディその人について

身体が弱かった。喘息の持病があったり、彼を産んだ日に地震があって、ナイーブになった彼の母は、ヴィヴァルディを司祭職へつくように促したそうです。※4

そんなわけで、作曲であるとともにヴァイオリニストであり、カソリックの司祭でもありました。そしてピエタ慈善院付属音楽院のヴァイオリンの教師でもありました。

 

 

 

 

まとめ

調べてみて、人物象はあまり見えてこなかったんですが、バッハより前かーということと協奏曲ってソリストが居て、ソリストが演奏するところをカデンツァというのか!ということが知れたな!というのが今回思ったことです。ただ作風が近いこともあって、イタリアの作曲家であるルイージ・ダッラピッコラには、「600曲の協奏曲を作曲したのでなく、1曲を600回作曲したにすぎない」と酷評されていて、そういう一面もあるのか、とむしろ興味が増えました。

 

 

 

参考

※1:バロック音楽 on Wikipedia 

※2:毎日新聞 コトバ解説「交響曲」と「協奏曲」の違い

※3:和声 on Wikipedia

※4:Antonio Vivaldi on wikipedia