Guggenheim Museum in Bibao
Image quoted from Widewalls “Deconstructivism in Architecture and Its 10 Most Amazing Buildings”
Photograph taken by User:MykReeve. – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=54632による
(建築における)脱構築主義とは何か?ということとニューヨーク近代美術館(MoMA)で1988年に開催された『脱構築主義者の建築』(Deconstructivist Architecture)という展示会で取り上げられた7名の建築家とその作品を紹介します。
『脱構築主義者の建築』(Deconstructivist Architecture)についてはMoMAのサイトにページが設けられています。
7名の建築家は以下の通り。
脱構築という言葉は、ドイツの哲学者、マルティン・ハイデッガーの『存在と時間』経由でフランスの哲学者ジャック・デリダが造語した言葉「Déconstruction」。この意味するところをわたしの解釈でざっくりと言うと
「A 対 Bみたいな構造で世界を捉えようとするのって単純すぎだから、A もあれば Bもあるし、なんならCもあるかもで、それを上下において考えることから抜け出そうぜ」
ということになります。
この哲学思想の潮流は、ファッションにも取り入れられてCOMME des GARCONS(コムデギャルソン)の川久保玲さんが、男 対 女という対立構図をから抜け出して、中性的なデザインをしていると言われています。川久保玲さんは、それのみならずヨーロッパのファッションのなかに黒を取り入れて、今までのファッションの構造を壊して新たな世界を構築しています。
この思想が、建築に取り入れられたのが脱構築主義建築です。
脱構築主義建築はポストモダン建築の一派であり、1980年代後半から2000年代に至るまでの建築の流行だったと言われています。(Wikipediaの「脱構築主義建築
」を参照)そしてポストモダン建築が退潮するに従い、モダニズム建築が復権してくるとも言われていますが、ポストモダン建築やモダニズム建築とはそれぞれどういうものなのか。
Modern Architecture。近代建築とも。18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命以降、世界は工業化していき、19世紀末から新しい建築を求めて試行錯誤した結果、1920年代になり、機能主義・合理主義の建築として成立したのがモダニズム建築。それ以前の歴史的な意匠を特徴とする様式建築とは対象的に工業的な素材である鉄、ガラス、コンクリートを使って、これらの素材特有の構造や表現を持っています。
フランスのル・コルビュジエ(Le Corbusier)のサヴォア邸(1931年)
(Omar Omar – http://www.flickr.com/photos/omaromar/9858756/, 日本著作権法46条/米国フェアユース, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=2795315による)
ドイツのルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)のバルセロナ・パビリオン(Barcelona Pavilion)(1929年)※写真は1986年に復元されたもの
(CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52748)
Postmodern architecture。上記のモダニズム建築への批判として提唱された建築スタイル。合理主義、機能主義へのカウンターとして装飾性、折衷性、過剰性などの復権を意図したもの。1980年代を中心に流行しました。折衷性とは、チェールズ・ジェックス(Charles Alexander Jencks)の言うところのハイブリットを意味したもの。その説明は今回避けます。
いずれにしろ、趣旨としては合理主義というのは一元的なものだけれど、それを相対化してみよう!という流れがポストモダン建築の言わんとするところです。ジェックスの二重のコードとかハイブリットというのは、表現のなかに機能以外に解釈できるものが含まれていることを意味しています。例えば、ニュヨークの元AT&Tビル、ソニービルになってから現在はサウジアラビアの企業Olayanの所有になっているビルのデザイン。設計は、フィリップ・ジョンソンとJohn Burgee。
David Shankbone; cropped by Beyond My Ken (talk) 13:28, 30 January 2011 (UTC) – David Shankbone, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12856715による
ビルの上部にある装飾は、古代ギリシャの神殿建築に由来するペディメント。これがハイブリットとか折衷性を体現した例。
モダニズム建築(合理主義)のカウンターとしてのスタイルだったものの定義や定着が難しく、その結果、ミニマリズムの潮流を受けて復権したモダニズム建築権、または脱構築主義建築という流れが生まれました。
これが脱構築主義建築が「ポストモダン建築の一派」と言われる所以です。
ちなみにプリツカー賞を2019年に受賞した日本の建築家、磯崎新の作品もポストモダン建築の代表作と言われています。
北九州市立美術館
Wiki591801, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=45818900による
Another view of the Memorial to the Murdered Jews of Europe
By Drrcs15 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36812035
ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン、ビルバオ)
CADを用いて設計されており、平らな面が建築のどこにもない
Photograph taken by User:MykReeve. – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=54632による
フランク・ゲーリーは、ハイブリットグループの創設者、ジェイ・ハイアットとシンディー・ハイアットが作ったリツカー賞を1989年に受賞しています。
Phaeno Science Center, Wolfsburg, Germany (2005)
By Nikola350 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=92118147
ザハ・ハディッドさんもプリツカー賞を2004年に受賞しています。プリツカー賞の女性の建築家初の受賞でした。二人目の女性建築家は、日本人の妹島和世さん(2010年)。
BMW Welt (2007)
Maximilian Dörrbecker (Chumwa) – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2593569による
Seattle Central Library Seattle, USA, designed by OMA
By DVD R W – http://en.wikipedia.org/wiki/Image:SCL.jpg, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=903412
Westside interior, 2008
By Studio Daniel Libeskind – Studio Daniel Libeskind, CC BY 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4267738
Acropolis Museum
By Tomisti – Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=16226563