「良いモノ」ではないじゃないか?と非難されれば、そのとおりです、すみませんと謝るほかないのですが、良いモノを調べているとどうしてもしりたくなるのが、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)やケリングなどの巨大なラグジュアリーグッズのコングロマリットの存在。いくつものハイブランドを調べていると、高級ブランドの経営の行き詰まりとその結果、巨大な他の企業に吸収されていくという流れ。たとえば、ポルシェ( Dr. Ing. h.c. F. Porsche AG)は2012年からフォルクスワーゲンの傘下になっています。フォルクスワーゲンの傘下にあるのは、ポルシェのみならず、アウディ、ブガッティ、ランボルギーニも。
このようにわたしたちには、別々に見えるブランドも(ブランドは別ですが)、経営は一緒なことが多い。その帝国とも言える企業にはどのようなものがあり、その規模はどれくらいなのか、ということをざっとしておきたい、というのが今回の主旨です。契機は、リチャード・ジノリ。イタリアの陶磁器のブランドですが、グッチの傘下になっています。グッチって?って調べると今度はケリングが出てきます。ケリングもコングロマリット。WikipediaではLVMH、リシュモンと並ぶ、とありますがそれらの実態はどういうものか。
ありがたいことにデロイト・トウシュ・トーマツが、
Global Powers of Luxury Goods 2019
という資料にまとめてくれています。
「デロイト」とも呼ばれるデロイト・トウシュ・トーマツとはどういう組織かというと世界最大の会計事務所で、世界四大会計事務所(Big 4)とも呼ばれています。Big 4?ってことはあとの3つは?って気になる。気になるとちょっとした沼の感触を感じ始めるのですが、そこは警戒して足をサッと抜くつもりで掘り下げてみると、まず世界四大会計事務所について。
•デロイト・トウシュ・トーマツ
•アーンスト・アンド・ヤング
•KPMG
•プライスウォーターハウスクーパース
ってか会計事務所って?って思う方もいるかもですが、(沼!)企業体が大きくなると決算書の公開をする必要がでてきますが、それらの公開する数字に不正があると法律違反になるからです。ざっくり言えば。堀江貴文さんの逮捕とか(これに関しても海外経由でニュースを見るほうがより良いでしょう。自国のメディアはあまり信用できない。)、いちおう証取法違反が理由です。逮捕されずとも表に出す数字は企業の死活に関わるので会計ってかなり重要になってくるのです。しかもグローバル企業になるともう扱いが桁違いで大変になってきます。といこうことで世界四大って言われるほどの会計事務所が存在するわけです。ちなみに1989年まではBig 8でした。それらが統合されていき、現在上記のBig 4になっています。ちなみにこれらの四大会計事務所は、そのまま日本においける四大監査法人の存在ともリンクしています。
•トーマツ(←デロイト・トウシュ・トーマツ)
•EY新日本(←アーンスト・アンド・ヤング)
•あずさ(←KPMG)
•Pwあらた(←プライスウォーターハウスクーパース)
会計事務所の沼からそろそろ脚を引き抜き、ラグジュアリーブランドのコングロマリットの存在に話を戻します。
Deloitteのレポートによると会計年度2017年での世界のラグジュアリーブランドのランキングと売上高を見てみましょう。
1位 LVMH (フランス) 27,995US$M
2位 The Estée Lauder Companies inc. (US) 13,683US$M
3位 Compagnie Financière Richemont SA (スイス) 12,819US$M
4位 Kering SA (フランス) 12,169US$M
5位 Luxottica Group SpA (イタリア) 10,322US$M
6位 Chanel Limited (UK) 9,623US$M
7位 L’Oréal Luxe (フランス) 9,549US$M
8位 The Swatch Group Ltd (スイス) 7,819US$M
9位 Chow Tai Fook Jewellery Group Limited/周大福珠宝集团有限公司 (香港) 7,575US$M
10位 PVH Corp. (US) 7,355US$M
ちなみに11位にエルメス、12位にラルフローレンが入ってきています。日本?日本の企業体としてはコーセーが29位。売上は2,071位。GDPというだんだん形骸化した数値では3位の日本ですが、こうしてみていくと弱いなあと今の所感じます。
大きな数字でしかも外貨になるとわかりづらくなりますが、上記のUS$Mとは、ミリオン・ダラーです。つまり1億円。LVMHは2.7兆円。ちなみに収益は48,057US$Mです。売上より倍近い収益ってどういうこと?って疑問がわきますが、ちょっと脇において保存しておきます。とにかく2位以下を大きく引き離しての1位です。まさにべき分布でロングテールの様相を示しています。
ちなみにLVMHの会長兼最高経営責任者は、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)。
LVMHがどんなブランドを傘下に納めているのか、他のコングロマリットも含めて6位まで見ていきましょう。
ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、フェンディ、ブルガリ、ロロ・ピアーナ、エミリオ・プッチ、アクア・ディ・パルマ、ロエベ、マーク・ジェイコブス、タグ・ホイヤー、ベネフィットコスメティクス
エスティ・ローダー、ボビー・ブラウン、ドゥ・ラ・メール、ジョー・マローン、アヴェダ、トム・フォード・ビューティー
カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、モンブラン、ジャガー・ルクルト、ヴァシュロン・コンスタンタン、IWC、ピアジェ、クロエ、オフィチーネ・パネライ、ユークス・ネッタポルテ・グループ
グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、サンローラン、バレンシアガ、ブリオーニ、ポメラート、ジラール・ベルゴ、ユリス・ナルダン
レイバン、オークリー、ヴォーグ・アイウェア、ペルソール、オリーヴァー・ピープルズ
シャネル
逆にシャネルすごくね?ってのも見えてきますが、経営が一緒でもブランドが違うので別に良いのですが、デパートなどで「レイバンもいいし、オークリーもいいけど、オリバーピープルズもいいなぁ。どれにしよう?」と迷うことが少し馬鹿みたいな気持ちになります。
そして、こうやってみるとLVMHの凄さがやっぱり際立ちます。
とまれ、ファッション業界の帝国の有り様とパワーバランスを知れてちょっと満足しました。
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