(写真出典:Jalan Sriwijaya )
「そんなに安くしなくてもいいじゃないか」
という印象をいつも抱くのが、インドネシアの革靴ブランド「ジャランスリウァヤ」。
美しく、オーセンティックな内羽根のストレートチップが3万円って、少しさびしく感じるくらい。
男性のビジネスパーソンは、靴にこだわる方が多い。女性と違って、個性やこだわりを表現できるアイテムが少ないので、自然、時計と靴にこだわるようになります。
もちろん、ほかにもスーツやシャツ、メガネに万年筆とこだわれるアイテムは多々ありますが、なかでも靴はよく観られるため、意識を高くキープされる方は、靴の選び方も、手入れもリテラシーを高くされています。
種類ならビジネスとしてフォーマルかどうかで選びますし、手入れは、良質な靴であれば、すればするほど馴染み美しくなっていきますので、それを承知している方は、楽しみながら手入れをされています。
革靴ブランドといえば、
などがハイエンドブランドとして有名です。
もちろん、そのどれもが歴史で育んできてブランドを持っているのですが、このジャランスリウァヤは、日本で販売されるようになったは2003年。
ブランドの社長の家の前の通りの名前。
GMTの社長、横瀬 秀明さんがIFF(インターナショナルファッションフェア)でジャランスリウァヤに出会い、日本での販売が始まりました。
ジャランスリウァヤは、インドネシアでは販売をしておらず、日本と韓国への輸出がメイン。インドネシアで販売できない理由もあって、それは、減税優遇策でヨーロッパから皮革を輸入して加工して輸出すること条件があるため。
とのこと。(参照:Isetan Men’s net「本格ビジネスシューズ<JALAN SRIWIJAYA/ジャランスリウァヤ>の靴づくりができる理由」)
ジャランスリウァヤのメーカーは、「フォルトゥナ・シューズ」という工場。1919年に創業し、オランダの植民地であったため、外国の軍人向けにミリタリーブーツの製造を行っていました。1950年にインドネシア共和国として独立。経営者の息子、ルディ・スパーマンは、独立を契機にして、靴の聖地であるイギリス、ノーザンプトンで修行。フランスで皮革の生産を学ぶ。そして現在に至っています。
なのでジャランスリウァヤは、イギリス靴がルーツです。
どのへんが、イギリス靴的かというとデザインもそうですが、製法によります。
ウェルテッドは、welted。
押縁を指します。
グッドイヤーウェルテッドでは、リブをかますことでミシンを使って大量に生産できるようになりました。
ハンドソーンウェルテッドは、Hand Sewnで「手縫い」を意味しており、グッドイヤーウェルテッド製法が編み出されるまえまでに使われていました。曲がった針を使って「すくい縫い」をしなくていけないので、熟練の職人技を要します。
こちらが「ハンドソーンウェルテッド製法」
こちらがグッドイヤーウェルテッド製法。
(出典:Union Royal)
ざっくりと言えば、
ハンドソーンウェルテッド製法(Hand sewn Welted)は、グッドイヤーウェルト製法の原型で、グッドイヤーウェルト製法なら機械でできるところを、(リブを使わないため)人の手で縫わなけれれば行けない、とっても手間のかかる製法。その結果、リブがないために、返りがよく、軽いは着心地になり、耐久性も高くなります。その上、インソソールのコルクが厚くなるために、履き込むと足に沿って沈みが生まれて、パーソナライズされたは着心地にが生まれます。
このあたりが、ブランドロゴに「Hand Made」と表記されている理由になります。
だとも、靴の裏には、ばっちり
Goodyear welted
と書かれれているんです。
どっちなんだろう。ハンドソーンウェルテッドを「グッドイヤーウェルテッド」と言っちゃっているのか、はたまたジャランスリウァヤにもグッドイヤーウェルテッドで作っている靴があるのか。
今の所不明。
ところで、木型も日本人の足に合わせて作られているので、他国のハイブランドより、馴染みやすいかもしれません。
ジャランスリウァヤは、良質ながらリーズナブルな価格で市場を形成しているのでしょう。
それでも「手間暇かけて、高度な技術を使って、なんで安いんや」
といくぶん思います。
ハイブランドで高額の靴と、良質なのにリーズナブルなジャランスリウァヤ。
その違いを少しずつ理解できるといいなと思っています。