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2021/05/25
レビューをみて購入するときの罠 「妥当性の錯覚」
筆者:-

インターネットで買い物をするときにレビューを参照しますか?

なにか必要なものがあってアマゾンなどのECサイトを使って買い物をするときや、行きたいレストランを探すとき、ユーザによる評価を参照することがあると思います。とくにAかBかと迷うときは、 口コミや評価の点数等参照しがちです。そして低い評価が少なく、高い評価が多い商品やレストランを信用します。当然!と思うかもですが、この判断、正しくないようです。

なぜ正しくないのか

ECサイトなどの評価と実際の商品の品質がどれくらい一致しているのかを調べた研究があります(※1)。1,272もの製品を分析したこの研究では、アマゾンでの星評価と『コンシューマー・レポート』という雑誌でおこなわれた品質評価点と相関を調べました。

画像2

画像引用:ハーバード・ビジネス・レビュー「なぜ、アマゾンの星評価はあてにならないのか」

結果は、アマゾンの星評価と雑誌の品質評価が合致するパーセンテージは50%。つまり偶然の一致と同じ程度でした。推測される理由はいくつかりますが、振り返ってみると「なるほど」とわたしは思うのですが、評価する人に大きな偏りがあることがそのひとつ。わたし、アマゾンで評価したことほとんどありません。評価する人と実際に購入している人からのランダムな抽出とには大きな隔たりがあるわけです。それにくわえて、極端な意見を持つ人ほど、レビューを投稿する傾向が強いという自慢と愚痴バイアの影響があります。もうひとつバイアスがあって、それは同じ商品なら値段の高いほうを高評価してしまう傾向がひとにはあるようです。たとえば高額なレストランほど高い評価がつけられています(※2)。

こういった間違った判断をしてしまう傾向には名前がついています。ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンらが主張する認知バイアスのひとつで、その名を「妥当性の錯覚(Illusion of validity)」と言います。

妥当性の錯覚

妥当性の錯覚(Illusion of validity)とは

分析したデータに一貫性があると、仮説が正しかったと過大評価してしまう傾向

わたしたちは手に入る情報のみを参照し、仮説を立てて、その精度を過度に信頼してしまいます。参照できない情報を「参照できない情報がある」ではなく「存在しない」として扱ってしまう。そうして偏りやときに意図的な情報に判断を歪めてしまう。

口コミにはガードが甘くなる

タレントが宣伝する商品に対して、わたしたちはそこに「説得意図」を感じます。宣伝だし、お金もらって商品をアピールしているから「良く言うのだろう」と。その一方で「他のユーザー」(に見えるものも含め)による評価は、盲目的に信じてしまいがち。であるなら、タレントを起用するよりも、多くの高評価をするユーザの獲得(評価してくれたら割引します!というインセンティブなどによるものやサクラも含めて)のほうがずっと効果的かもしれません。これが、ECサイトで口コミを参照してしまうときの「罠」です。

対策

評価にばらつきがある場合、少し精度があがるようです。なので高評価ばかり在るものに対して疑いの目を持つ、というか口コミの精度は50%程度」という知識を念頭においておくのがまず手軽な対策です。そしてより精度が必要な購入の場合は、ECサイトの口コミ以外の評価や店頭にて触れるなどして検討するのが良いでしょう。面倒ですけどね。口コミへの過度の信頼は危険だぞ!ってことを知っているだけでもまあまあ失敗は減ることでしょう。

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この「妥当性の錯覚」を含めていくつもの認知バイアスを紹介しているノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンの著書。

認知バイアスとは

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認知バイアスとは、人間や動物が進化の過程で獲得した生き残るために有利な行動や思考の様式が、不利に働いてまうもの。無自覚にしてしまう不合理な行動の元。頭が良くても陥るもので、熟知すると落とし穴に落ちないで済むし、利用もできるようになります。認知バイアスの知識は、いうなれば人間という乗り物をうまく操作するためのドライビングテクニックです。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。

参照

※1:Navigating by the Stars: Investigating the Actual and Perceived Validity of Online User Ratings

※2:Yelp And Michelin Have The Same Taste In New York Restaurants

#認知バイアス #口コミ #ネットショッピング #妥当性の錯覚