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2021/05/11
「出身どこ?」から生まれる 「内集団バイアス」
筆者:

 

あなたの会社に新入社員が入ってきて、あなたがそのうち2人を指導することになったとします。うちひとりがあなたと同じ県の出身者でした。もうひとりは別の県。どちらの新入社員に好感を感じますか?

同じ県の出身というだけで人は、なぜか好意を抱いていします。血液型、星座、同じ野球やサッカーチームのファン……。ある集団に属している人をむやみに贔屓目に見てしまうことを「内集団バイアス(In-group favoritism)」といいます。

内集団バイアスとは

内集団バイアスとは、

自分が属している集団に属している人に、外の集団の人よりも、無意識に好意を抱く傾向

です。現在に自分や相手が属している状態ではなく、過去にどちらかが属してた場合でも発生します。これは帰属意識から発生した偏りですが、形成するのが容易で、無作為に分類された集団においてでも、内集団バイアスが発生することがあります。内集団バイアスは、逆に言えば、外の集団に対して、不合理に低い評価を下したり、差別的な行動に繋がります。集団がより大きくなり、部族や国になると自民族中心主義(ethnocentrism:エスノセントリズム)と呼ばるようになります。

英語:In-group favoritism, in-group–out-group bias, in-group bias, intergroup bias, in-group preference

限られた資源を奪い合うと生まれる内集団バイアス

Muzafer Sherif and Carolyn Wood Sherifの1954年の実験で、11人ずつの2つのグループを作って、限られた貴重な賞品を奪い合う競走活動をさせてみたところ、互いに別のグループに対して敵意と否定的な態度が生まれました。その後、相互依存の状況に従事させると対立は解消しました。これは、「 Robbers Cave Experiment 」と呼ばれる現実的な衝突理論(Realistic conflict theory)を示す有名な実験となりました。

自尊心

現実的な衝突理論の他に、社会的アイデンティティ理論(social identity theory)からみた内集団バイアスに対しての考察があります。それは、自尊心を向上させたいという動機が内集団バイアスを形成していえるというものです。自分自身を肯定したいという要求をわたしたちは持っています。それが、自分が所属しているグループへ移ります。自分の所属しているグループを肯定的にみるようになり、相対的に他のグループに対して否定的になります。この社会的アイデンティティ理論に基づいた内集団バイアスに対する考察は、英国の社会心理学者であるアンリ・タージフェル(Henri Tajfel,)によって提唱されたものです。

自分の所属しているグループが、個人の自尊心と結びついている左証として、『影響力の武器』で有名なロバート・チャルディーニの研究があります。フットボールの試合のあとに、大学のキャンパスで大学のTシャツを着ている数を数えるという内容でした。自分の大学のチームが勝利したあとの方が、負けたあとよりTシャツを着ている人数が多かったことがわりました。

生物学と内集団バイアス:オキシトシンが同じグループに所属する人を信頼させる

Carsten de Dreuによるメタ分析で、オキシトシンが同じグループに所属する人間に対して、信頼感を発展させて、協力及び自己犠牲などの行動を誘発させる効果を持っていることを明らかにしました。これはダーウィンの洞察と一致しており、グループ内の協力と保護を獲得するために形成された生物学的な特徴と考えられます。これによってグループのメンバーの生存確率を高めています。

内集団バイアスの性差

女性は、男性の4.5倍、内集団バイアスが強い(※2)。しかし競走という状況においては、男性に内集団バイアスがみられるもの、女性にはありませんでした。そして民族性に基づいた内集団バイアスにおいても、男性には見られ、女性にはありませんでした。(※3)

また年齢と性差の関係では、男子は3〜8歳で内集団バイアスを示すものの、女子には見られないかった。男性は、女性より若い年齢から内集団バイアスを示す傾向がある。

応用・対処

相手の共通点を作ってシェアすると好意を形成できる。

差別が生まれる場所のひとつでもあります。差別意識を希薄化させるとき、対立するグループに共通項を作ると効果があるかも。「共通の敵」という創造が便利なのかもしれません。しかしこれはグループの団結力を形成するために少数を不合理に犠牲にするやり方になりえます。もしかしたら「いじめ」もこの生物学的な根拠すらある内集団バイアスの形成のために発生しているのかもしれません。ゆえに、この知見をつかって、いじめの発生を防ぐことも可能になるかもしれません。いじめは、悪意によって生じると云うよりは生物学的な傾向によって発生している可能性があります。行動アーキテクチャや環境の作り方によって防ぐ、軽減すること可能かもしれません。模索したいところです。

まとめ

内集団バイアスは、生物学的な根拠があり、わたしたちの生存確率を高めるために形成された傾向のようです。オキシトシンが内集団バイアスを強化するというのは興味深いものでした。オキシトシンとは、カップルや親子の絆を形成するもの。これは裏返せば、自分に所属するものへの愛着が、それ以外の存在に対しての排斥ないし否定につながるということになります。

具体的な対策は、知識を持つ、という認知バイアス全般に言えるものになります。

認知バイアスとは

認知バイアスとは、人間が「こうした方がうまくいく」という経験知を行動傾向にして獲得したもの(ヒューリスティクスと言います)が、裏目にでたものです。武器の欠点みたいなもの。これらのことを知っておくと怪我をしないばかりか、人生はビジネスにおいてうまく利用できたりすることも多くなります。こちらのマガジンで認知バイアスをまとめています。内集団バイアスは、認知バイアス大全の№146。

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論拠

研究のはじまりは、1906年、社会学者、ウィリアム・サムナーは、人間は、グループに参加する種であり、また参加しているブループを他のグループより好むと主張していました。

参照

※1 Oxytocin modulates cooperation within and competition between groups: An integrative review and research agenda

※2 “Gender differences in automatic in-group bias: Why do women like women more than men like men?”

※3 “Discrimination in a Segmented Society: An Experimental Approach”

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