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2019/11/06
【ロゴ・アーカイブ】№01 Wedgwood(ウェッジウッド)_テーブルウェア
筆者:大田忍
イギリスの陶磁器メーカー、Wedgwood(ウェッジウッド)の歴史は、見ての通り古く、創業は1759年。いとこを雇って親戚にお金を借りて28歳で、創業者のジョサイア・ウェッジウッドは独立しました。
詳しくは、こちらの
を参照ください。
そのWedgwoodのロゴですが、現在はこのようになっています。
ときどき見かけるこちらは、ロゴとしてはではなく、バックスタンプに使われています。
Wのなかにある壺は、創業者、ジョサイアが4年の歳月をかけて完成させた「ポーランドの壺(Portland vase)」が、「抜き」で含まれています。
心理学用語で「図と地」というものがありますが、Wという文字をみたとき、壺は背景になり、Wという図に対して壺は地になりますが、壺に目を向けるとWが地になります。
ポーランドの壺は、古代ローマ時代に作られたローマンガラスで、ジョサイアは1786年に、ポーランド公爵夫人に壺を借りて、ジャスパーを用いて作り上げようとし、1789年に完成させます。最初に作り上げた壺は黒と白でした。その壺がバックスタンプのマークの中に含まれています。
ロゴとして使用しれているのは、Wマークなしのもの。
ENGLAND 1759
の表記に使用されているのは、Gill Sansという書体です。

Gill Sans

エリック・ギルによってデザインされたサンセリフ体(ヒューマニスティックといって「人っぽさのあるサンセリフ体」)で、1928年に世に出ました。
「イギリス!」というニュアンスを強く持つ書体で、英国の国営放送BBCやロールス・ロイスのロゴにも使用されている書体です。
というわけで、

創業年である1759年を伝える書体としては、年代が合わないんです。

Gill Sansが生まれたのが1928年ですから。
では、どうして
ENGLAND 1759にGill Sansが使われているのか?
それは、
「ヘリテイジだけじゃなくて現代の潮流にも合わせていくブランドである」
ということの意思表示なのでしょう。
Wedgwoodというロゴ(マークとして機能する文字)では、王侯貴族たちに愛顧を受けてきたエレガントで由緒あるブランドであることを表現し(かつ、この書体はオリジナル。ハンドメイドで作り上げてきた歴史の体現を含まれているかもしれません)、そこにより掛かるだけでなくて、「時代の潮流を読み、舵を切る努力だって惜しんでいません」というニュアンスをロゴで表現したいと思いがあり、それをメインのWedgwoodではなく、サブファクターになっている「ENGLAND 1759」で、イギリス的なサンセリフ体であるGill Sansにして表現しているのかもしれません。
経営破綻なども経て、現在ではフィンランドの企業、フィスカースの傘下に入り、平坦ではない260年という歴史を生き延びてきた陶磁器ブランドは、変化も含んで今存在しており、その姿として、このロゴはとてもしっくり来ます。
ちなみにベースになっている色は、ジャスパーという窯業技法で表現できることができる「マットな質感と気品ある色合い」で表現した「ウェッジウッド・ブルー」です。
このように、ただの文字が並べただけに見えるかもしれないロゴですが、そこには、そのブランドが何を大切にしてきて、どう生きてきたのか、またはどう生きていきたいのかという思念が含まれています。