「今回のテストはうまく出来たと思う」。こう思ったこと、口にしたいこと、ありませんか。社会人なら「今回の商談はうまく行くと思う」でも良いでしょう。この自信と結果の差には20%ほどの開きがあるかもしれません。
自信過剰効果 (Overconfidence effect)とは
判断の主観的な自信が、客観的な実際の評価よりも高くなる傾向
例えば、ある問題に対して「99%正解している」と評価した答えの正解率は60%でした。自信過剰効果とは、人の主観的な判断の自信が、実際の客観的な正確さよりも確実に大きくなるというもの(※1)(※2)。認知バイアスのひとつです。いう、
自信過剰とは、主観的な確率の誤認の一例であり、以下の3つの方法で定義されています。
(1)自分の実際のパフォーマンスを過大評価すること
(2)自分のパフォーマンスを他者と比較して過大評価すること
(3)自分の信念の正確さに不当な確信を示すことである過精密さ
スペリングの問題では、被験者は100%正解していると評価した問題に対して正解率は約80%でした。実力と自信の差は20%でした(※3)。一般的な知識についても100%正解していると評価した問題は、20%の確率で間違っていました。実力と自信の差は20%ということになります(※4)。
自信過剰効果は、「あるよねー」という嘲笑や自嘲以上に重く受け取っておいたほうが良さそう。なぜなら「自信過剰は、人間が陥る認知バイアスの中で、もっともよく見られ且つ破滅的な可能性を秘めているから」。 訴訟、ストライキ、戦争、株式市場のバブルやクラッシュの原因が、この自信過剰効果によるものだと考えています。思った以上に怖い認知バイアスです。
しかし一方で、自信過剰効果は、目標に向かって努力する力を形成する力も持っています。楽天主義バイアスに通じる利用の仕方ができそうです。「できる!」と信じるが失敗を警戒するという姿勢が人生には有効かもしれません。
ダニング=クルーガー効果
能力の低い人が自分の能力を過大評価する傾向
コントロール幻想
実際には自分とは関係のない現象を、自分がコントロールしているという錯覚
認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。
※1:The Role of Individual Differences in the Accuracy of Confidence Judgments
※2:The trouble with overconfidence.
※3:Confidence in the recognition and reproduction of words difficult to spell
※4:Calibration of probabilities: The state of the art to 1980