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2021/01/04
【ビジネスに使える科学 004】恋をしていない人は、恋をしている人の気持ちを理解できない「感情移入ギャップ(Empathy Gap)」
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感情移入ギャップとは?

日本語での解説がネット上にはほぼなく、「感情移入ギャップ」という翻訳は、暁 美焔(Xiao Meiyan)さんの翻訳にならっています。英語だとEmpathy Gap。直訳すると「共感ギャップ」。

暁さんは、感情移入ギャップを簡潔にこのように説明されています。

 

怒ったり恋愛したりしている時に、その感情を持たない視点で考える事ができない傾向

想像に難くないバイアスです。怒っているときに「冷静になろう!」といわれるとき、言う方、言われる方の双方が感情移入ギャップの影響下にあります。これは感情が高ぶっている人のみならず、そうではない人にもあるバイアスです。つまり「恋をしていない人は、恋をしている人の気持を理解できない」とタイトルに書きましたが、感情移入ギャップは、逆の「恋をしている人は、恋をしていない人の気持ちを理解できない」にも当てはまります。

この感情移入ギャップは、元来「Hot-cold empathy gap」と呼ばれています。ホットな状態の人は、コールドな状態の人の気持ちを理解できないという意味を表した表現です。先述の通り、逆もしかりです(Vice versa)。

Hot-cold empathy gap(ホット-コールド共感ギャップ)という用語は、カーネギーメロン大学の心理学者であるジョージ・ルーヴェンスタイン(George Loewenstein)によって造られたものです。

 

感情移入ギャップの何が問題か? (1)職業

感情移入ギャップに無自覚であることでどこで問題が生じるかといえば、ひとつには業務。医者が感情移入ギャップに無自覚であると患者の苦しみや痛みを正確に診断できなくなります。これは患者の立場として多くの方々が経験しているのではないでしょうか。思い出すだけで腹がたつ診断のされ方の記憶がわたしには、2つあります。

 

感情移入ギャップの何が問題か? (2)性欲

マサチューセッツ工科大の2005年の研究によれば、わたしたちは、冷静でいるときには、すごくムラムラしているときの行動をちゃんと予想できないようです。冷静なときには、コンドームをちゃんと使用すると想定していても実際に興奮した状態では、その使用を怠る傾向があるようです。見に覚えがありますでしょうか?

感情移入ギャップの何が問題か? (3)いじめ

いじめは、されていないひと、特にしている側の人間は、されているひとの気持ちを理解できません。いじめにあった経験を持つ教師とそうではない教師とでは、前者のほうが、いじめをしている生徒を罰する率が高いという研究結果があります。(Journal of Personality and Social Psychology. 100 (1): 120–128. doi:10.1037/a0020938. PMID 21219077.)

 

感情移入ギャップの何が問題か? (4)依存症

タバコやドラッグ、ギャンブルも含めて、中毒になっている人となっていないひとの間には、感情移入ギャップが存在しがちです。覚醒剤はとくにそうなんじゃないかと、わたしは推測しています。覚醒剤依存症の人をそうではないひとは、だらしない、意志が弱いと非難しがちですが、依存症は意志の問題ではありません。

 

まとめ

わたしたちは、日常で怒ることも、怒られることも、また恋に落ちることも、何かに夢中になることもあります。そしてわたしたち以外がその状態にいることを目にすることもあります。このとき、自分とその人の間に感情移入ギャップがあることを知っていると、相手の気持ちの理解が深まりますし、少なくとも踏みにじる可能性が減ることでしょう。

ビジネスシーンでの応用としては、顧客やユーザーの感情状態の理解に大きく貢献できる知識にあるのみならず、リスクヘッジとしてマニュアルに組み込むこともできます。