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2021/02/24
人は変わるのが大嫌い。なぜなら……がわかる! 「現状維持バイアス」
筆者:-

現状維持バイアス

英語では「Status quo bias」。「Status quo」とは、「そのままの状態」という意味のラテン語で通常はtheを冠して使います。現状維持バイアスとは、文字通りですが、

何か問題が出ない限り、現状維持を望む傾向

です。(※1)。現状維持バイアスは感情バイアス(後述)の1つ。現状を金順としてそこからの変化をすべて損失と考えてしまう、つまり「変わる = 安定の損失」と捉える傾向です。

結果、変化しないからと言って、変化した場合の損失が、変化しないままでいることの利益を上回るために変化しないことと現状維持バイアスは別ものです。それから何も考えない行動決定とも言える「心理学的な惰性(psychological inertia)」とも別物です。例えば、産業廃棄物を現状汚染されていない湖に投棄するという計画が持ち上がったとき、現状維持バイアスは、変化を好まないため、それに対して否定的な判断をするものです。つまり湖が変化することを厭い、投棄しないでおこうという判断をします(これは客観的な判断である場合は現状維持バイアスではなくなりますけど)。一方で心理学的な惰性は、投棄の是非を検討しません。そういう計画が上がったなら遂行することに介入しません。

感情バイアスとは

感情バイアスとは、英語で「Emotional bias」といい、感情的な要因で認知や意思決定が歪むことです。(※2)たとえば、否定的な判断を中立的なものとして考えようとしたり、正しくない可能性があるのに心地よかったり、前向きな感情を生み出すものごとを信じようとしたり、精神的にきつい事実を受け入れることを躊躇したりすること、これが感情バイアス(感情的バイアス)です。

論拠

現状維持バイアスは、2002年ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)らの1988年の実験で検証されています。その他の研究論文でも肯定されています(下記にリンク先をあり:「Status quo bias in decision making」)。№116のバックファイア効果とは異なり、現状維持バイアスは、追試で確認されている信頼性の高い認知バイアスと言えそうです。

リチャード・ゼックハウザー(Richard Zechhauser)氏とウィリアム・サミュエルソン(William O. Samuelson)氏による『Status quo bias in decision making 』(1988年)

構造

現状維持バイアスは、プロスペクト理論に関連しており、利益と損失が同じでも人は損失のほうを大きく感じてしまいます。1万円を得る歓びと1万円を失う辛さなら、歓びより辛さのほうが大きくなります。また未知のものに対して人はポジティブな情報よりネガティブな情報を重視します(ネガティブバイアス)。ゆえに変化を嫌います。また人は手に入れたものを手放すのが嫌な保有効果 (Endowment effect)というバイアスも持っています。

株式投資においては塩漬けが現状維持バイアス保有効果の好例になります。現状維持バイアスは、政治、健康、教育、倫理、退職後のプラン、交渉において現状維持バイアスをみることができます(※3)。

応用・対応

現状維持バイアスはばっちり存在していそうなので、ばっちり対策をねっておいたほうが良いでしょう。ではその対策として考えられるものを紹介します。

(1)現状維持バイアスの存在を知ること
これは認知バイアス全般に言えることですが、知ることがそもそも武器になります。危機的な状況にあるときに動かないでいることが安全なのか危険なのか判断するとき、現状を好むこのバイアスがあることを知っておくと良いでしょう。また情報をすべて集めてから判断しようとする情報バイアスというものもあるので合わせて覚えておきたいところです。

(2)マトリックスにしてみちゃう
ケースAとケースBを定量的な要素を見つけて比較するというのは手っ取り早いです。定量的なというところが重要。バイアスは理解していても働きます。自分の感覚の外に基準を求めるのは重要です。

(3)結果を比較
(2)に関連しますが、ケースAの結果とケースBの結果を最悪の場合と最善の場合で比較してみるのも手っ取り早いです。ロスとゲインの比較を明確にすると客観的な判断が下しやすくなります。

(4)変化しないリスクについて考える癖をつける
経営判断する際にも、これはかなり重要になってきます。漫画『インベスターZ』のなかでもDMMの亀山敬司会長が、変化しないリスクについて触れています。

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(5)小さな変化に慣れている
変化に関してはやっちゃうのが一番効果的です。でも失敗は怖い。が失敗よりも変化を厭うほうが危険な場面が多々あるの世の中なので、失敗を悪いものとするより、エジソンがいうように「上手くいかない方法の学習」と捉えるほうが楽しく有効かもしれません。失敗が楽になるのはマインドセットを成長マインドセットにするのが一番です。成長マインドセットの学習には、キャロル・ドゥエックさんの『マインドセット』が参考になります。

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まとめ

自分に関しても人に関してもデフォルトは、

人は変化が嫌い

だと覚えておくと良いでしょう。それでも行動を変化させたい場合、自分なら先の(5)に挙げた「ちょっとやってみる」がすごく良い対応策です。他者の場合は、他者を変えるということは難しいのですが(パスカルも言っていたはず)、ターリー・シャーロットさんの『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』にいくつか方法が紹介されています。ゴールを共有というのがそれなんですが、ここではカッツアイ!

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「現状維持バイアス」は認知バイアスの1つ

認知バイアスとは、人間にある思考や判断の偏りです。わたしたちは、認知バイアスを知らないことで、知らないうちに合理的ではない判断をしたり、記憶を歪めたりしています。しかし「認知バイアス」の知識を獲得すると、こういった人間のバグを回避できるようになります。

認知バイアスは全部で236あります。そのすべてをこちらで一覧にしています。「現状維持バイアス」は、№96です。

認知バイアスの記事を集めたマガジンはこちら。

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参照

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