BRANDING TAILOR

BLOG

2021/05/30
後悔をせず、生産的になれる「サンクコスト効果」という知識
筆者:

時間とお金と労力をかけてきたことをやめにくい

画像1

コンコルドの誤謬(日本では「コンコルド効果」と呼ばれることが多い)」という人間の不合理な行動傾向があります。コンコルドというイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機がありました。1976年に運航が始まり、2003年に運航を停止しました。運航の停止の理由は赤字。実は開発時点で「こりゃ完成しても採算が取れないな」ということが分かっていました。研究開発費は4000億円。そんな金額と労力をかけていたので「やめたほうが良いと思います!」と言えない。この「言えない・やめられない」というのがコンコルドの誤謬です。続けても赤字が分かっているなら今すぐやめてしまうのがベストなはずです(これを不合理な継続(Irrational escalation)とも言います)。

3000円のアオリイカを購入して料理し始めるも途中でお腹いっぱいになって食べたくなくなったとします。ここでのベストな選択はアオリイカをうまく保存してしまうこと。少なくとも無理して食べることではないはずです。3000円の投資に加え、労力までかけて「食べすぎて具合が悪くなる」というのは不合理な選択のはずです。しかしせっかく新鮮で高価な食材を買って調理するぞ!と意気込んでいたのに途中でやめたくありません。これもコンコルドの誤謬です。ちなみにこの例は昨晩のわたしの実体験です。アオリイカは880円でしたが。

画像3

コンコルドの誤謬は「サンクコスト効果」

画像3

コンコルドの誤謬をもうちょっと内容も示す言い方をすると「サンクコスト効果」となります。サンクコストとは「サンク(sunk:沈んだ)」と「コスト(費用)」で「埋没費用」という意味です。

あなたがある映画を観に行ったとします。自分と恋人のぶんの映画チケット代が3800円。話題の映画だったので楽しみにして観始めました。しかしどうにも面白くない。恋人の顔を伺うとやはりつまらなそう。ここで合理的な判断は、映画を観るのをやめて、他のことに時間を使うことです。しかし「せっかくチケットを買ったし、楽しみにしていたのだから」と思って映画を途中で観るのをやめられません。これはコンコルドの誤謬でありサンクコスト効果です。

サンクコストとは、この例でいうところの3800円です。すでに投資してしまって「沈んでしまっている」コストです。これについてわたしたちにできることはもはやありません。しかしそれに囚われてしまうのが人間です。こういう不合理な行動をバイアスと言います。正確には系統的なエラーをバイアスと言います。「系統的」というのは、特殊例ではなく、人間全般に「こうなったらこうしてしまう」という傾向が見られることを指しています。

レストランの行列に並んでいると他の食べ物が食べたくなっても、せっかく並んでもう少しで自分の番が来るというときに並び続けてしまうのも、このサンクコスト効果。並んだ時間が「サンクコスト」です。

サンクコスト効果への対策

画像4

さて、このだれしも陥ってしまう「だって人間だもの」的な罠から抜け出すためにはどうすれば良いでしょうか。答えはシンプルなものです。

今からできるベストな選択を選ぶ

なんです。映画がつまらないとわかったら映画館を出る。コンコルドの開発者だったら開発を中止する(そして開発で得た知見の応用方法を探す)。普通はこれが難しい。しかしこの「コンコルドの誤謬」「サンクコスト効果」という知識とその対策を知っているとこれがすこし容易になってきます。なぜなら「それが不合理で、損をすることを知っているから」。

投資でいうところの「損切り」

画像5

投資をされている方なら「損切り」ということばをご存知でしょう。買値より価格が下がってしまった株を売却してしまうことです。まさにサンクコストです。そうして有望な別の投資先に再投資するのがベターな選択のひとつです。これがまた難しい。そしてわたしがまさに今複数の銘柄で買ったときより価格が低くなりすぎたのに売れないでいます。これを「塩漬け」と言います。

ゆえに優れた投資家はポジションを確定し、遵守します。ポジションとは、「いくらになったら売る」ということを決めた値です。マイナス10%になったら損切り、プラス20%になったら利確。そして自分の勘や感情よりそのルールを優先します。そんな投資のセオリーを紹介している面白い漫画があります。『インベスターZ』という漫画です。

インベスターZ(1) www.amazon.co.jp

550 (2021年05月30日 11:17時点 詳しくはこちら)
Amazon.co.jpで購入する

後悔とは「サンクコスト」

画像6

実は、投資などの経済的な活動以外にも「サンクコスト」はあります。それは「後悔」です。「あのときあんなことをしなければよかった!」とか「どうして飲みすぎちゃったんだろう!」とか「最初の目覚ましで起きていれば良かった」など。全部サンクコストです。後悔するのが人情というものです。しかし人情より人生が充実し、前進するほうが重要です。すくなくともわたしはそう考えています。

であれば、「昨晩、どうして無理にアオリイカを食べちゃったんだろう」と思うこうした後悔に対してどうすれば良いかというとそれを脇においておいて、今からできるベストを考えて実行する、のが良いわけです。反省でも後悔でもなく、ベストな選択を考えて実行する。これが合理的な選択です。

やってみるとだんだん慣れてきます。そして身につくと「(ほとんど)後悔知らずの人生」がゲットできます。

認知バイアス大全

サンクコスト効果は、認知バイアスと呼ばれる人間の不合理な行動傾向のひとつ。紹介した認知バイアスをマガジンにまとめています。