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2021/04/07
成功した話をまるまる信じるな「生存者バイアス」
筆者:

 

 

 

ある事故や事件が起こったとき、生き残った人々の話を聞くことができますが、死んでしまった人々の話を聞くことができません。聞くことができる、生き残った人々の話だけをもとに状況を判断することで、その事故・事件について考えることで歪みが生じます。これを生存者バイアスといいます。

生存者バイアスとは

生存者バイアス/生存バイアス
英語:survivorship bias, survival bias

生存者バイアスとは

現在残っているものだけを基準として判断し、淘汰されたものについて考えない傾向

です。選択バイアス(Selection bias)(まだ紹介していませんが、認知バイアス大全№93)の1種。

事故以外の生存者バイアス

存在しなくなった企業が、市場分析から除外されることも一種の生存者バイアスです。生存者バイアスは、消えた(淘汰された)存在について考慮しないため、過度な楽観主義につながることがあります。

前後即因果の誤謬

ラテン語:post hoc ergo propter hoc
英語:post hoc

前後即因果(ぜんごそくいんが)の誤謬(ごびゅう)とは、ある事象が別の事象の後に起きたこととき、前の事象を後の事象の原因と捉えてしまう間違いです。ない因果関係を、あると混同してしまうもの。呪術や迷信もこの前後即因果の誤謬であることが多い。

生存者バイアスは、この前後即因果の誤謬につながることがあります。たとえば、ある企業の成功について、それが単なる偶然であっても、成功したのは、その企業の特性によるものと信じてしまうとき、生存者バイアスが前後即因果の誤謬につながったといえます。

経済における生存者バイアス

財務業績調査においては、調査期間の終了日に存在していた企業のみが、調査の対象となり、その間に倒産した企業は除外され、消えてしまった企業を考慮にいれないで、調査の結果を出すとき、その結果は、真の状況を示したものではなくなり、歪みが含まれます。

歴史は生存者バイアス

歴史は、生き残った人々によって語られるため、その殆どがある意味、生存者バイアスといえます。無神論者のミロスのディアゴラス(Diagoras of Melos)は、難破船を脱出した人々の絵について

「神々は人間のことを気にしていないとあなたは言っているが、神々の特別な好意によって死から救われた人々のことはどう考えているのか」

と訊ねられ、次のように返答しています。

「神に見捨てられた人々はここには描かれていない。その数の方が遥かに多い」

(※1)

Susan Mummは、歴史家が生存者バイアスによって、廃止された組織よりも現存する組織を研究するように導かれる様子を記述している。即ち、Women’s Institutesのような大規模で成功した組織は、うまく組織化され、歴史家のために利用できるアーカイブが現存しているため、より多くの仕事をしているが、小さな慈善団体よりもよく研究されている[2]。

対処・応用

私たちの人生やビジネスにおいて、成功した人々の著書や話を大いに参考にします。しかしその一方で成功しなかった人々の声を聞く機会はほとんどありません。こういった成功譚とさきほどあげた前後即因果の誤謬が加わって、わたしたちは、

○○だから成功した

と成功の法則をみた気になります。しかしそこには偶然の一致による要素もたぶんに含まれてきます。たとえば、未だに愛憎含めた知名度の高い、ウィンストン・チャーチルは、第二次世界大戦と言う状況が彼を首相にしたとも言わています。

私たちが成功の法則などを模索するとき、成功譚を参照する際には、この生存者バイアスがあることを念頭においておくと、バランスの良い仮説が立てられるようになることでしょう。

認知バイアスとは

こういった認知バイアスは、進化の過程で生き延びるのに有利な行動パターンとして形成されたものです。それが不合理に働いてしまったものを認知バイアスと呼んでいます。人間のみならず動物にも見られます。いわば、進化の過程で獲得した武器がもつバグみたいなものです。

認知バイアスについてはこちらのマガジンで随時、紹介しています。生存者バイアスは、認知バイアス大全の№100。

 

参照

※1

#認知バイアス #イノベーション #生存者バイアス #前後即因果の誤謬