BRANDING TAILOR

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2019/02/19
欧文書体の種類(ざっくり篇)
筆者:大田忍

 

日本企業にだって欧文の知識は少し必要

 

前置き:意外に大切な欧文書体の知識
1.欧文書体は大きくわけて4種類
1-1. セリフ体
1-2. サンセリフ体
1-3. スクリプト体
1-4. デコラティブ
2.次回の予告:イタリックって何?
3.引用元

 

欧文書体の知識なんて
あまり重要ではない気がしますが、
実際のところ、そうでもなさそうです。

弊社では
日本はもちろん
世界中のロゴをアーカイブし続けているのですが
(現在2,000社以上)

日本の企業で
欧文(ローマ字ですね)をロゴに
使用していない企業は5%以下です。

つまり
ほとんどの企業が
欧文を使って
企業の顔たるロゴを
作っているわけです。

パンフレットや
IRにも飾り的に欧文が使われることも
あれば、欧文バージョンのそれを
作っている企業も多々あります。

大企業のみならず
中小企業も
欧文を取り扱う機会があり、
またそれにふれる顧客や
ステークホルダーも存在しているわけです。

そして、
恐ろしいことに、
企業が発信している欧文の
多くに間違いがあったり
奇妙な扱いをされているものが
あったりします。

アリアナ・グランデの
「七輪」という入れ墨を
笑えないんです、実際のところ。
(自分に間違いがなくとも、
アリアナさんを笑わないで欲しいです。)

 

ということで
弊社ブランディングテイラーでは
欧文書体の基礎知識
少しずつ紹介して、
みなさんと共有していきたいと思います。

今回は、

欧文書体の種類です。

欧文書体には4つの種類があります。
セリフ体、サンセリフ体、スクリプト体、デコラティブです。

1-1.セリフ体

これは日本語書体でいうところの「明朝体」です。

というか本来は、セリフ体に近い書体として
「明朝体」が選ばれた経緯があるので
逆なんです。聖書を印刷する際に
セリフ体に近い明朝体が選ばれたので
「明朝体」が正式な文字
という印象を受けるのは
宗教経由の欧文由来なんです。

セリフ体には、さらに6種類にわかれるんですが、
今回は、もっとも基本的な
オールドスタイル
のみご紹介します。

これがオールドスタイルです。

他の書体にくらべて
いちばん「きちんとした」
印象があります。

それは歴史がもっとも長いということもあるし、
正式な場面で使われる場合が多いというのも
その印象形成の理由です。

そして読みやすいんです。

15世紀から18世紀の間に作られたものですが
大文字に関しては、
紀元前の碑文から使われています。

特徴は、
「セリフ」と呼ばれる文字のはじっこにある
でっぱった飾りです。

平筆を使って書かれていたなごりであり、
横書きの流れを示すものでもあります。

平筆を使っているので
横棒は細くて、縦棒が太くなっています。

欧文圏の人たちは、
文字ひとつひとつよりは
単語を塊としてみて認識しています。

上に出っぱっていたり、下に出っぱっていたり
そのかたちで、読んでいます。

ホテルのルームナンバーなので
上にでたり、下にでたりしている
数字をみることがあると思いますが、
これはその流れを組んでいるものです。

 

不自然じゃないかたちで
文章のなかにアラビア数字を
含められるようにした工夫です。

1-2.サンセリフ体

セリフがない書体です。

「サン」(Sans)はフランス語で「ない」という意味です。

日本語でいう「ゴシック体」みたいなものですが
「ゴシック」と呼ぶと違う意味になってきますので
この言葉はわきへおいておきます。

 


今では、セリフ体より
目にする頻度が高いかも知れません。

というのも
わたしたちは、印刷物よりも
デジタルな媒体で文章に触れる頻度が
増えつつあるからです。

しかし、世の中に登場した当初は、
ちょっと気持ち悪かったみたいです。

そこで「グロテスク」とも呼ばれていました。

セリフがないのは、どうも気持ちが悪かったんですね。

しかし広告的にはとても目立つので重宝されました。

19世紀はじめにイギリスで生まれましたが、
ほとんどが19世紀後半から20世紀のあたまごろから
生まれています。

サンセリフ体にも
さらに4つの種類がありますが、
これもまた今回は省略します。

ただ、

「サンセリフ体」という種類の名前と

「100年ちょっとまえくらい生まれた書体であること」

とおぼえておくと良いでしょう。

あと

サンセリフ体にもニュアンスが違ってくるものがある

ということもなんとなく覚えておくと便利です。

幾何学的なものから
人間的なものまであります。

ホテルで使われるサンセリフ体には
エレガンスと人間味が含まれている
ものが多いです。

こんなふうにして
書体は文脈を見せることが
可能なメディアでもあったりするのです。

そういう意味ではレストランでは
その「文脈」に、わたしたち日本人も
知らない間に触れています。

それが顕著にみてとれるのが
次に紹介するスクリプト体です。

1-3.スクリプト体

いわゆる「筆記体」です。

正式なものもあれば、
手書きっぽいもの、
そして
これが手書き?
思う予想外の手書き文字、
ブラックレターという文字も
これに含まれます。

まずブラックレターですが、こちらです。

これが欧文書体としては
「ゴシック」と呼ばれるものなんです。

日本語の「ゴシック体」はサンセリフ体を意味しているんですが。
それがややこしくなると言った理由です。

12世紀から15世紀に西ヨーロッパで誕生しましたが
ドイツでは20世紀まで使われてきていました。

印刷を発明したヨハネス・グーテンベルク
ブラックレターも編み出しています。

だから、世界で初めての印刷物は
このブラックレターが使われています。

これがグーテンベルクが印刷した聖書「グーテンベルク聖書」です。


wikipediaより)

 

さてレストランの話に戻りますが、
高級なレストランに行くと
こんな文字でメニューが書かれている
イメージがありませんか?

これがどうして高級なのかというと
この書体は、スクリプト体のなかでも
「フォーマル・スクリプト」呼ばれるもので

これを印刷するには、
銅版印刷という方法を用いる必要がありました。

これが普通の印刷より
お金がかかるんです。

そのかわりに、細くてエレガントな曲線を印刷できました。

なので、
銅版じゃないと印刷できないも書体を使うことで

「お金かけてエレガントにしております!」

という文脈をメニュー経由で伝えているわけです。

銅版印刷由来ながら読みやすい

カッパープレートゴシック(Copperplate Gothic)

という書体があるのですが、
この書体は日本のレストラン街に入れば必ず1回は目に入ってきます。

こちらです。

Dean & Delucaのロゴもこの書体ですね。

この書体がもつ「ちゃんとしていますよ」という文脈に、
わたしたちは、それと気づかずに触れているわけです。

 

最後にデコラティブです。

1-4.デコラティブ

文字通り装飾的な書体を全般を指すカテゴリです。
このカテゴリの書体を
企業ロゴに使用していることところは
少ないです。
主に広告または
エディトリアル(雑誌など)
で使われるもので
目立つことが優先されて
おおむね読みにくい。
完成度やクオリティが低い
という意味ではありません。
目的が違う、ということです。
たとえば映画「グレート・ギャツビー」のタイトル。


Atlasという書体が使われていますが、
アールデコ調のこの書体は、
もちろん読みづらいのですが、
ばっちりと1920年代の雰囲気を
伝えています。

しかし
どうして企業ロゴに使用されにくいのかというと

文字が含む「文脈」がすごく限られてしまう

からでしょう。

ただし、推奨されないわけではありません。

ファッションブランドのPRADA、
自転車ブランドのTREK、

など、さがせばけっこうありますね。

まとめ
•欧文書体の知識は地味に重要
 なぜならほとんどの日本企業が使うから。
•欧文書体には大きく分けて4種類ある
1. サンセリフ体
2. セリフ体
3. スクリプト体
4. デコラティブ

2.予告

次回は、知っているようで、けっこう知らない「イタリック体」について。
日本語のフォントにはないですものね、イタリック体。

 

3.引用元
※1:Type Classifications

※2:欧文書体の基本的な歴史と知識から学ぶことサンセリフ体編