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2019/11/05
【良いモノ・アーカイブ】_6_ ウェッジウッドのハーレクイン(食器)
筆者:大田忍
良いモノ・アーカイブとデザイン・アーカイブのどちらにも含まれるもので一遍に書いてしまうので少し長くなります。
創業1759年のイギリスの陶器ブランド、ウェッジウッドの
良いモノ・アーカイブとしては、ハーレクイン・コレクションのティーポットとティーカップ、ソーサーを
デザイン・アーカイブとしては、ティーポットのパッケージを紹介します。
目次
ブランドとしてのウェッジウッド
創業者、ジョサイア・ウェッジウッド
ハーレクイン・コレクション
ウェッジウッド・ブルー
パッケージ上部全面の箔押し
ウェッジウッドの経営

ブランドとしてのウェッジウッド

ウェッジウッドは、創業時、王侯貴族に使用されるステータスを陶器のブランドに付加することに成功していました。当時の英国王妃、シャーロットやロシアの女帝エカテリーナ二世からもサービス(茶器、食器など一式)を注文を承っており、一点一点異なる英国の風景を職人に描かせた豪華なテーブルウェアを献納していました。
シャーロット王妃に納品していたので、「クィーンズウェア」という名称を使うことを許されていました。
ウイーンズウェアは、淡い乳白色で、紫色の絵柄に木の葉の縁飾りが描かれ、どの器にも中央に王国内の風景が描かれていました。
ロシアの女帝エカテリーナ二世に納めたサービスは「フロッグ・サービス」と呼ばれていて952点にも及びました。
また「フロッグ・サービス」を納品した年である1774年に、「ジャスパーウェア」と呼ばれる陶磁器も開発し、完成させています。4年の歳月を研究にあてて、数千回も実験を重ねています。古代ローマの陶器を再現した「ポーランドの壺」が有名で、Brimingham Museum of Artにも納められています。
陶器に描くイラスト等の精度をあげるために、普通の人を高度なイラストを描く職人にする工夫もしていました。そのあたりは、日本の狩野派を彷彿させます。

創業者、ジョサイア・ウェッジウッド

創業者、ジョサイア・ウェッジウッドは、28歳でイギリスバーズレムで独立します。このときの工房は、小さな一軒家と2つの窯、物置と作業場からなっており、これらをいとこのジョン・ウェッジウッドから年間15ポンド(現在の1350ポンド=18.9万円)で借りていました。創業資金もおそらく裕福な親戚から借りたと想定されています。
以来、たびたび資金には苦労し、ストレスも多かったようですが、性格はとてもユニークで前向きの人物だったようです。
幼少時代に患った天然痘のため、膝を悪くしており、とうとう1768年に右の膝下を切断しています。しかし以来、切断した日を記念日のように扱い祝ったほど前向きだったようです。
彼には、かかりつけの医者に紹介されたビジネスパートナーで、親友にもなったトマス・ベントリーという友人がいました。
彼が亡くなったのは1795年。推定50万ポンド(現在の約32.4億円)の遺産を残しました。
ジョサイアの奮闘についてさらっと紹介している本としてナンシー・ケーン『ザ・ブランド』があります。※1

ハーレクイン・コレクション

ハーレクインとは道化師という意味で、現在出回っているのはウェッジウッドミュージアムに保管されているものを再現したものです。はっとするような黄色が基調で、これはイエローリボンと呼ばれ、19世紀の摂生時代に流行したものです。普通、道化師といえばダイヤマークを象徴として使われるところ、ウェッジウッドのハーレクインではハートがモチーフになっています。

ウェッジウッド・ブルー

ウェッジウッドは、ブランドカラーに淡いブルーを使用しています。これは先のジャスパーに関連した色で「ウェッジウッドブルー」と呼ばれています。
(出典:Wikipedia “Wedgwood”Typical “Wedgwood blue” jasperware (stoneware) plate with white sprigged reliefs.)

パッケージ上部全面の箔押し

ハーレクインのパッケージには、ウエッジウッドブルーを印刷ではなく、用紙そのもので使用しています。その上に模様と印刷。パッケージ上部は全面は金の箔押しのみ。
ハートのモチーフとともに創業当時のイギリス風俗を再現した版画絵が描かれています。
ちなみに写真は、ティーポットのパッケージですが、ティーカップとソーサーのパッケージは円筒です。どちらもチャーミングで捨てがたく、二次使用されることが多いでしょう。
ちなみにちなみに、中には取り扱い説明書が入っていますが、パッケージよりは濃いウェッジウッドブルーを彷彿させるブルーのみで印刷されています。

ウェッジウッドの経営

創業者、ジョサイアが没したあとはしばらく家族経営が続きますが、うまくいかず(とは言え長生き),
1986年にウォーターフォードクリスタル社と合併います。ウォーターフォードクリスタルもクリスタル製品や陶磁器を扱うメーカーです。
ウォーターフォードクリスタル
紆余曲折あって2009年には経営破たんし、現在はフィンランド企業のフィスカースの傘下に入っています。
フィスカース・グループ
フィスカース傘下には、他にもこんなテーブルウェア関連のブランドが入っています。
  • イッタラ
  • ガーバー
  • ロイヤルコペンハーゲン
  • アラビア
  • ハックマン
  • ロイヤルアルバート
  • ロールストランド

参考資料

ナンシー・ケーン『ザ・ブランド』(原題“Brand New”)
ウェッジウッド公式オンラインショップ
ウェッジウッド Wikipedia
Wedgwood Wikipedia