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シリコンバレー式 自分を変える最強の食事
デイヴ・アスプリー (著), 栗原 百代 (翻訳)

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  • ジャンル:
    ライフハック
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    オススメ

オススメするけれど、全部信じないで!
「ホントかよ?」という疑念と好奇心を作り出すのにオススメ

原題は、The Bulletproof Diet。

Bulletproofは直訳すると「防弾」という意味。

内容は、太っていた著者、デイブ・アスプリー氏は、ハッカーとして才能を活かして起業して成功していたのに太っていて集中力もなくて苦しんでいたけれど、その問題にハッカーとして対峙してみたら成功した!というのもの。ハッカーはOSを攻略するものだけれど、アスプリー氏は、自分の身体をOSとして捉えて、そこにあるバグを探して、自分の思うようにコントロールする術を見つけ出していく。それをまとめてファンを醸成してさらに大成功してお方。

アメリカ人って、こういう感じの方が多い気がします(根拠はひとつだけ。Miracle Morning の著者、Hal Elrodを思い出しただけです。Miracle Mroningについてこの動画がわかりやすいかも。彼もカルフォルニア。)

 

さて、内容は面白いし、密度がすごい。食事がダイエットのためだけでなく、自分のパフォーマンスを最大化するためのものとして捉えているところに心惹かれる。たしかに朝食を摂っていたころ、朝すごくけだるくなることに悩んでいたけれど、朝食をやめてから、朝からかなり集中力を仕事や執筆に向けることができるようになった。食事とパフォーマンスはすごく密接に関わるという姿勢での探求は興味深い。

一方で、論拠とエビデンスの間があいまいな部分が多い。

例えば、アスプリー氏は、遺伝子組換えが夜に広まって以降、様々な病気が増えたと言っているし、この2つを結びつける証拠はないものの、と断っているが、「やはり遺伝子組換えものは摂らないに越したことはない」という結論を出している。結びつけられる証拠もないのに!?なぜ?。

ただし現在のところ(とはいえ2012年の話だけれど、→)遺伝子組換えに関する科学的な結論をアメリカ科学振興会(AAAS)が出した声明では、

バイオテクノロジーの分子技術による現代の作物改良は安全である。

しかも「WHOや米国医師会、米国科学アカデミー、英国王立協会といった権威ある組織がリサーチを行い、いずれも同じ結論に達している。」とまで述べている。

 

だからわたしは、アスプリー氏のこの本は、「ほんとかな?」という好奇心を育てるのに、とても良い本だと捉えています。

私見だけでなく、いろいろな調査や実体験を通して出しているメソッドなので、興味が湧くものがあれば、「自ら調べてみる!」というアクションの起動にすごく良い。

 

先日、あるビジネス雑誌の編集長が引用しているダーウィンの言葉を調べてみたら、

ダーウィンはそんなこと言っていない

ということがわかった。なかなか恐ろしい話である。有名な雑誌の冒頭で、編集長が引用している言葉が、実在していないということは。

以来、わたしは、「引用は自分でする」というルールを設けてました。とは言え、さきのAAASの引用は、鈴木祐氏のブログ「パレオな男」から拝借していますが(でも、もと声明も読んでまーす!証拠として、先の言葉はこれが翻訳されたもの「Indeed, the science is quite clear: crop improvement by the modern molecular techniques of biotechnology is safe. R」)。

 

さて、ダーウィンがどんな言葉を言っていたと思われていたのかというとこれ。

It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.

翻訳すると、「生き残る種とは、最も強いものではないし、もっとも賢いものでもない。最も変わることができる種が生き残るのだ」というもので、わたしもかつて引用したことがある(はずかしい!)

『種の起源』のなかにこれに相当する言葉はないそうだ!わたしは実際に読んでいないので、これまた検証が必要だけれど。

 

とまれ、論拠は自分で探しましょ!という話でした。それでも、「ほんとかよ?」と湧く疑問は宝ですので、この本、ちょっとオススメします!

(大田 2019年72冊目)

 

 

(2019/05/22)