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日本のグラフィック100年
山形 季央

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  • ジャンル:
    デザイン
  • 読了時間:
    3時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    オススメ

ジャンル:デザイン。

グラフィックデザインに関わって十年以上になるが、知らないことの多さに驚愕した、というのが正直なところ。先達の作った道の、土に草に触れて、開拓の士たちの思念理念を想い、自分を奮い立たせたい、という読後感。と同時に時代の変化をも感じる。佐藤 航陽氏の『お金2.0』や『サピエンス全史』でも触れられているが、現在(2018年)は、環境変化のスピードがかつて無いほどに速い。今の常識が数年後には常識ではなくなり、想像もしなかったことが普通になりかわっていはずである。iPhoneが世に出たのはわずか10年前である。今、僕たちは携帯電話の便利さを越えて、電話をしないことのほうが普通になった。グーグルホームに話しかけるだけでテレビをつけたり、電灯を消したり、ニュースを聞いたり、スケジュールを立てたりしている。そのスピードをグラフィックの100年を振り返ることで(それはつまり多くの広告の歴史であもるから)、現在を相対化することができるようになる。グラフィックデザインに関わるのであれば、必読書として推薦したい。

ところで無学が故に、僕は著者はずっと「りお」という名の女性だと思っていた。かわいい名前の女の人がこんなにソリッドな文体なんてギャップが素敵……と思いながら読んでいたのだけど、読後に「としお」と読むと読むと知って、妄想が袋小路で途方に暮れてしまった。眉村卓の作品の中のような影の長い夕暮れの中の。

(2018/03/07)