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漫画 君たちはどう生きるか
吉野源三郎

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  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    0.5時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    勧めない

何かと耳に入ってくるので
我慢できなくて読んでみた。

その辺の躊躇が
小説ではなく、漫画を選んだ理由だと思う。

おじさんと少年、コペル君との
対話のような形式で
ギリシャ哲学も想起させる。

が、

おじさん、そんなに良いことを言っていない。
わかりにくいし、冗長だし、
ぐっとこない。

しかし、
この本が、
どうして岩波書店出版だったものが
マガジンハウスからも出版し
漫画にまでしたのか、
それがどうして今なのか。
(漫画も小説も2017年8月24日出版)

ということについて
考えてしまう。

この漫画、小説の
主題はこういったものなんじゃないか
と僕は考える。それは

多数に巻き込まれずに
自分で考えて、自分で決めることを知れ
たとい失敗しても
それがこれからの自分を前に進ませる
大きな糧になる(から進め)

良いことだと思うのだけれど
メンターや哲人的存在である
おじさんの言葉に
どうも何やらひっかかるものがある。
それは時代背景によるところもあるのかもしれないが

「自覚されないおこがましさ」

みたいな気配を感じる。
どこにだろう……。

「こういう人間は、むしろ軽蔑に値する人間だ」

という言葉をおじさんは書き記しているのだけれど、
果たして「軽蔑に値する人間」はいるのだろうか、
よしんばいたとして、彼らに向かって
「軽蔑に値する」と言葉にすることは
「立派なこと」なのか。

と小さな疑問が、
微発泡に湧いて
思考を駆け上って見えなくなっていく。

だから
僕ならば、
この本を
子供には勧めない。
しかし読むことを止めることもしないだろう。

でも怖いな、
とも思う。

この本には「良いこと」が
詰まっていると感じて
疑わなかったらどうしようか、と。

「良いことを言っている感じの人」の
言葉を自分で考えてみる、ということを
どうやって伝えたらいいのだろうか。

そういうことを考えさせられた本。

 

 

(2018/09/27)