BRANDING TAILOR

CREATIVE LIBRARY

条件を選択して探す

ジャンル
読んだ人
評価
現在の登録件数:695 件

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    ライフハック
  • 読了時間:
    0.5時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ
読むと元気になる
優しい智慧シリーズのひとつ
2019年16冊目は、「スタンフォードの」シリーズと言っても過言ではないケリー・マクゴニガルの「人生がうまくいくシンプルなルール」
テーマに対して、内容は腹落ちしづらいぼやっとした内容だけれど、それでも元気になるし、内容が悪いわけでもない。
翻訳本の良いところは、

訳者あとがき。

翻訳者は、翻訳するためにそれこそ何度となく、著書を読んでいるので、

「これって、つまりこういう本だ」

という理解を誰よりもしている。そして、彼らは、あとがきでそれを書いてくれることが多い。

果たして、この本の翻訳者、泉 恵理子さんも同じようにまとめてくれており、

この本の特徴を3つにまとめてくれている。

1つ目の特徴は、著者であるマクゴニガル博士が、「日本人の読者」を意識して書かれた点です。

2つ目の特徴は、マクゴニガル博士自身の体験を、ケーススタディーの材料として提供している点です。

3つ目の特徴は、最新の心理学、行動科学の知見がふんだんに盛り込まれている点です。

 

そのとおりで、特に2つめがマクゴニガルさんの本の特徴なのかも、と思うのですが、

「自分に優しい」。エビデンスよりも、気持ちにやさしい。

散らかっていたっていいし、先延ばししたっていいじゃないか。

こういう姿勢を、

セルフ・コンパッション(自己に向けた思いやり)

いうのだけれど、

すぐに自戒しがちな、わたしたち日本人には

身につけるのが難しい。

それをブレイクスルーしてくれるのが、

キャロル・ドゥエックの「マインドセット」なんですが、

やっぱりこの本でも

冒頭でドゥエック女史の「マインドセット」が紹介されています。

 

その他、モラルライセンス(良いことをしたあと、人は悪いことをしがち)や

時間術、いろいろ、エビデンスに基づきながらも、実際に使える知見を

簡単に教えてくれています。

 

やはり、とても良い内容なので、

「面白かった!」で終わらせずに、

ひとつでもふたつでも

習慣化したい、と思いました。

 

(2019/01/30)

ディテール・イン・タイポグラフィ 読みやすい欧文組版のための基礎知識と考え方
ヨースト・ホフリ (著), 麥倉 聖子 (監修), 山崎 秀貴 (翻訳)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    デザイン
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    必読書

欧文を扱う人なら1冊本棚に持っている必要があるし
扱わない人ならぜんぜん必要のない本

タイトルどおり、欧文組版の基本書で、あとがきでは「欧州のデザイナーなら本棚に必ず1冊はある」と謳われているし、実際にそういう内容です。

日本の活版印刷所、嘉瑞工房の高岡昌生氏による『欧文組版』も欧文組版の基礎知識を学べる良書だが、それに比べて、フォーカスの範囲が狭く、まさに“detail”な内容に感じます。

シニカルな話だけれど、いくぶん「読みににくい」。ヨースト・ホフリ氏が、日本語版のレイアウトも監修した(のかな、たしか)ためか。

どうしても欧文組版的に日本語を組むとキャプションなど小さめの文字が小さくなりすぎる傾向があるように感じる。

欧文組版的、またはヨゼフ ミューラー=ブロックマンのグリッドシステムに則ったデザインをする白井敬尚氏のデザインは好きなのだけれど。

 

欧文をさらっと扱うことのある方(多国展開している企業の広報担当者や経営陣)も
こちらではなく、高岡昌生氏の『欧文組版』のほうが、欧文の基礎知識を学ぶには、よりふさわしいと思います。

この本ほどマニアックではなくても良いでしょうから。

ただし、グラフィックデザイナーで欧文を扱うなら、この本に精通しているかどうか、はちょっと小さくも重大な差に関わってくると思います。

 

(2019/01/29)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    自然科学・哲学
  • 読了時間:
    1.5時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    勧めない

自叙伝でもないのに
「私が」「私は」が多出する本には警戒したい

今年14冊は、『サピエンス全史』と同じ、柴田裕之氏の翻訳による、
シェリー・ケーガンのDeath。

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『ホモデウス』を読んで以降、個人的にも社会的にも「死」について一度徹底して考えておきたいとは思っていたので、良い機会とばかり手に取りました。

が、苦手でした。

内容というよりも著者が。

同じように苦手だった本は、板倉雄一郎氏の『社長失格』、スコット・ギャロウェイの『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界 』で、何が共通しているのかというと「質の悪い悪いエゴ」とわたしが名付けるものが通底している(ように感じる)ところです。

表紙からも達観した哲学者然とした様相から、伺い知れなかったのですが、どうにも文の後ろに「私を観て!」的なエゴを感じて、具合が悪い。

翻訳によるのか、原文によるのか

「シェリー先生の考え」と題する章が多出する。自分で自分をユーモアを感じさせることなく「先生」と自認する、その狙いが何か、わからない。

死に対する項目や切り口は、興味深くはある……

のだけれど、どれをとっても冗長で、それは自ら考えることを促しているのかもしれないが、かと言って冗長なものは冗長なままである。

そういったわけで、
死について考えるには、
少なくともわたしにとってこの本は、
感情がざわついてしまうために
適していないようです。

Amazonの書評で、
「肝心の形而上学的な考察部分がまるまる端折られているのは、いかがなものか」という批判が多くされている。確かに、翻訳本として出版していて、手にしてみると「実は、原書の前半部分カットしているんですよー」ってのは、詐欺みたいなものでしょう。しかし冗長な著書なので、個人的には「もう形而上学的部分なんてなくたって別にいいや」という気になって、問題に感じない。

イェール大学で23年も人気講義だとあるので、イェール大学卒の方に会う機会があれば、ちょっと直接、この講義について尋ねてみたい。

本当か?と。

 

 

 

(2019/01/29)

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド、翻訳:上杉 周作、関 美和

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    自然科学・哲学
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    必読書

頭の良い人ほど間違える
世界の実態と思い込みの違いを知って
わたしたちが始めること

ビルゲイツが、希望する大卒者全員に贈呈したと帯にあるのですが
彼は、「サピエンス全史」も絶賛していて、この「ファクトフルネス」と
「サピエンス全史」には通底しているものが、あって
それがビル ゲイツの心を強く打つのではないかと思いました。

それは、わたしたちが思い込んでいる世界と
実際との違い、ギャップが深くあるということへの
明晰な気付き。

サピエンス全史では、
狩猟採集民はさして不幸ではなかったどころか
農耕民になってから人類には不幸が発生したこと
など、驚くべき史実(もちろん推測の部分も多いが、それでも多くのエビデンスを基にしている)
が詳らかにされていました。

このファクトフルネスでは
テーマが「思い込みを正す」というだけに
(ニュアンスとしてはそんなに偉そうではないです。ここちの良い、軽快な文体だし、悪質なエゴ、ヴァニティも見受けられません。)

よりフォーカスが小さく、

エリートほど勘違いしている世界の誤解を
ひとつひとつといてくれます。

人間の誤解は本能的なものとして、それを10にカテゴライズしています。

犯人探し本能、焦り本能、宿命本能、分断本能……。

世界はそんなに不幸ではない、

発展途上国は、いまほとんどない、

ページをめくるたびにあなたは驚くでしょう。

 

加えて、この本の素晴らしいところは、
これがひとつの命の凝縮であるところです。

著者名が3名もいる理由もそこになるのですが、
それは自ら読んで、意味するところを知っていただきたい。

ハンス ロスリング氏のTEDの講演
を観れば、彼の能力の一部をすぐに理解できるので
読む前でも後でも一度見てみることをお勧めします。

 

(2019/01/29)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    ブランディング
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    必読書

読んでおかないといけない気配を
感じる「常識感」をびしばし(勝手に)感じる

今年12冊目は、ブランディング本。

「ブランド」という無形の資産を、いかに具体的に取り扱うか、ということが学べるマーケティング寄りの本。

著者のデイヴィッド・アーカー氏は、カルフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールの名誉教授であり、電通の顧問でもある。

MITを卒業し、スタンフォードで統計学修士号、経営学博士号を取得。エリート。

この本以外に、「ブランド論」、「ブランド・ポートフォリオ戦略」「ブランド優位の戦略」なども出版している。(ダイヤモンド社)

91年に出版されていて、手にした本は20刷目。27年生き延びている本なので、まあ一度目を通す必要は感じます。

冒頭にもあるのですが、この本の目的は4つ。

1 ブランド・エクイティの定義

2 事例を紹介してブランド・エクイティの理解を促す

3 このブランド・エクイティをどのように管理すべきか

4 正視すべき問題

 

基礎知識としてあたまに要所要所を叩き込む系の本であり、
実践的というよりは、机上理論的な気配を感じます。

乱暴な考えですが、スティーブ・ジョブズがこれらの知識を参照して
アップル社への復帰後のブランディングを行ってきたかと想像してみると

そうでもないんじゃないかな

と感じる、ということが言いたい。

アップルに限らないけれど、
「ブランド」というものは「発生」は
もう少し「価値観を伴ったミッション」ドリブンによるんじゃないかと
思います。

それを、そとから分析すると
この本のようになるのではないかと。

発生源はシンプルでも
アウトプットとインタラクションは複雑になる。

とくに後者。

それでも、勉強している気になるので
その点は読んでいていて楽しかったです。

読後感も

「ここに書いていることをちゃんと覚えていないとどこかで恥をかきそうだし、
知っていて当然って気配には頻繁に出会いそう。こわいこわい」

というものでした。

知識ってときに怖い。

ちなみにヴァニティ(虚栄心:著者のわたし、すごいでしょアピール)は
ないので、読みやすいです。

一方「GAFA」のスコット・ギャロウェイなど(※)ヴァニティまみれで読みづらい。

※など:これ以外は、「死とは」のシェリー・ケーガンなど。

(2019/01/28)

RE DESIGN
原 研哉

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    デザイン
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    勧めない

2 DECADESがかけるフルイを
楽しめるデザインの本

評価を「勧めない」にしていますが、
とても楽しめはしたんです。
得るものもありました。

なのになぜ「勧めない」のかというと
ここから得られるのは、
または得られると期待できるのは、

デザイン関係の
主要な人たちの
アイデアとそのアウトプットを
概観できること

です。

グラフィックデザイナーはもちろん
建築家、映像作家、
照明デザイナーなど
多くの領域のプロフェッショナル
のアイデアとアウトプットを
いっぺんに観て比較できるというのは
とてもとても有益な刺激です。

でも古い。

これが理由です。
この本の出版が2000年で
2019年現在からみて
さすがに20年前、
特にデザインのアイデア
の刺激を求めるのは
いくぶん古すぎるかもしれない。

それがお勧めしない理由です。

もっと今の時流、ファッションに
呼応した、これに近い本が
あるんじゃないのかなーと
いう気がしますので
あるならば、そっちを読んだほうが良いでしょう。

もう正直CDケースという
メディアのアイデアはそんなに
ぐっとこない。

煙草ってのもなぁ、等々。

もちろん良質なデザインに
普遍性があることは認めるところですが

合計すると
冒頭にあげたことを期待して
手にとるなら他の本のほうが
良い気がします。

エディトリアルデザインも
やや古いです。
むしろ価値があがるほど古くはなく、
ちょうど今見るぶんには「いけてない」
時期の古さです。

それでもやっぱりおもしろいです。
だから、おすすめしたい気持ちが湧きます。

ちなみに参加されている方々は、

坂 茂、佐藤 雅彦、隈 研吾、面出 薫、佐藤 卓、田中 一光、谷口 広樹、藤井 保、大貫 卓也、赤瀬川 原平、浅葉 克己、津村 耕佑、松本 弦人、祖父江 慎、アラン チャン、ドリアン T 助川、永井 一正、横尾 忠則、原田 宗典、鈴木 一誌、内田 繁、平野 敬子、織咲 誠、坂東 孝明、吉岡 徳仁、竹山 聖、藤森 照信、深澤 直人、大江 匡、都築 響一、仲條 正義、北川 一成

なかなかの大御所ぞろいですね。

20年経過してなお、
古びないものを見つけるのもたのしいかもしれません。

いや、古びたものをみつけるのも楽しいです!

(2019/01/16)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

吉行淳之介を知りたくて
そしてなんとなく知る

名こそ知れど、
まだ読んだことがなくて
その歯がゆさを解消したくて
読みました、吉行淳之介のエッセイ集。

阿川弘之のエッセイにも
村上春樹のエッセイにも
その名が出てくる、
「優男」「モテる」「病弱」
「金がない」「あってもすぐに遣う」作家として
イコン化している吉行淳之介。

予想通りの内容だけれど
おもしろい。

金がないのに金を貸したりする。

女の人は好きだけれど、
下品ではない。

ずっとユーモアの気配が
漂っているし、ペーソスも
ポッケにちょこっと忍ばせている。

現代に読むと
いくぶん男女の扱いに
難が発生しそうな部分もあるし
共感できないところだってあるけれど
(そのへん、池波正太郎のほうが
なぜか異議がわかない)

おもしろい。

男性が仕事帰りに
居酒屋やバーで
ひとりでちょっと読んで
帰宅する

なんてのが
ぴったりな気がします。

女性が読むのも
おもしろいでしょう。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

というくらいですから。

(2019/01/16)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    自然科学・哲学
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

政治・経済、日本史に続き、
倫理の高校教科書
やっぱり便利!

これくらい哲学まわりの知識を
系統立てて凝縮した本って他にあるのかしら?

実用的な哲学ガイドの書としては
山口周さんの

『武器になる哲学』

で、これは本当に実利的な本でした。

実利的、と言っても
通底しているのは、

『サピエンス全史』や
『ファクトフルネス』にも
同じテーマがあると思うのですが、

思い込みで間違えないような視点を育む知識の啓蒙

というテーマではないかと思っています。

『武器になる哲学』は、
歴史的流れをベースにはしていないので
そういうものをおさらいするのに、
この高校教科書の倫理は、

この上なく便利です。

たった218ページで
良質なコラムを差し込むことで
幾分かのナラティブの気配を
作りつつも、ソクラテスから
アウグスティヌス、ムハンマドを
経由しながら仏陀、孔子、老荘思想、
ルソー、ジョン・ロック、
カント、ヘーゲルを通り、
日本の西田幾多郎や
吉田松陰もさらさらと触れながら
ウィトゲンシュタインにまで
到達します。

考えてみれば
教科書ほど
編集に労力が
かけれる本というのは
なかなかないのかもしれません。

日本政府の教育方針というものが
教育現場にたいして影響を与えることは
あるのでしょうが、
教科書においては、
むしろ心打たれるほど
誠実に作られている印象がありました。

 

(2019/01/15)

日本史B
山川出版社

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    歴史・政治
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

やっぱり徹底して便利
大人に便利な教科書

高校生用の日本史の教科書で
定番の?山川出版社。

佐藤優さんや池上彰さんは
なにかと学校の教科書の良さを
喧伝しているのだけれど、

歴史の教科書は
だいたい山川出版社のものを
おすすめされていた
気がします。

ただ、
常日頃思っているのだけれど
歴史を学ぶときは
近代から遡るほうが
おもしろい。

政党の歴史を遡り、
明治維新、
江戸幕府……

と自分たちの
身の回りが
どうやって変化して
今に至っているのか
ということを知るほうが楽しいし
重要。

縄文や弥生時代より
ずっと江戸時代から
明治時代、
昭和にかけての
経緯を知るほうが大事。

だから、
わたしはこの教科書も
うしろから読みました。

随所にはさまれている
コラムもとてもおもしろいです。

江戸時代には
裸体や混浴が普通だった
ことなど、知れて
楽し、役に立つ。
(先日しった春画の
取り扱い具合と
この江戸時代まで
裸を羞恥しない
文化が合致する感がありました。)

これも一冊あると本当に便利です。

(2019/01/14)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

本を読みはじめるには、これ以上ないほど
使いやすいアンソロジー

本をよく読む人にも、
これから何か読もうかなという方にもおすすめします。

三省堂の高校の現代文の教科書。

教科書というと、旧態依然とした、受験のための面白みのない受験用の編纂書、
というイメージを抱きがちではないかと思うのですが、
手にとって見ると宝物のようなアンソロジーです。

現代から近代までの作家に加え、
脳科学者の茂木健一郎、
広告企画から始まり今は映像作家である「だんご3兄弟」の佐藤雅彦、
グラフィックデザイナーの原研哉、
さくらももこに詩人の吉原幸子など、
実にバラエティに富む方々の良質な文章をコンパイルしています。

それも気軽な短さにして。

これ一冊、読んでおけば、
自分がどんなジャンルの何を読みたいのか、
すぐに見つけることができるのではないでしょうか。

大人にこそ、うってつけの「本のコンシェルジュ」
のような良書です。

明解国語辞典の三省堂らしいのか、は
他の教科書と読み比べてみないとわかりませんが、
どちらかといえば、バリバリリベラルな編集に思えます
アヴァンギャルドです。

載っている著者の一覧:
角田光代、内山節、川上弘美、大崎善生、長谷川眞理子、松沢哲郎、中原中也、荒川和江、入沢康夫、佐藤雅彦、酒井順子、井上ひさし、う内海隆一郎、原研哉、竹田青嗣、夏目漱石、さくらももこ、小川洋子、井伏鱒二、恩田陸、渡部潤一、岩井克人、吉原幸子、宮沢賢治、茂木健一郎、別役実、中島敦、吉村昭、鷲田清一、加藤周一、半藤一利

ちなみに三省堂の社名は、
『論語』の学而(がくじ)の
「吾日三省吾身」
(吾れ 日に三たび 吾が身を 省みる)
の一節より。

(2019/01/14)

かんさい絵ことば辞典
ニシワキタダシ

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    0.5時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

ただただなごむための本です。

関西弁(というか大阪弁)について
意外に知らない言葉があるかもしれません。

「いごく」

「やんぴ」

「いっちょかみ」

「せたろう」

「きくな」

などなど、関西以外のかた、
意味ご存知です?

少し元気になるので
カバンに忍ばせておくと
フリスクみたいに
きりっとリフレッシュできる

かも?

 

(2019/01/13)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

1973年に単行本が出版されたもの。

70年代ごろの文壇の住人たちの交流を垣間見る、
阿川弘之の乗り物にまつわるどうでも良いエピソード群。

吉行淳之介が車の免許をとった理由、
井伏鱒二の自宅に設置された電話について
(檀一雄の本にも出てきたか?)、
雷が怖い倉本聰、
戦闘機に乗ったとはしゃぐ三島由紀夫など、
くすくすと笑ってしまう話を読みながら、
当時の気配のようなもの
(作家たちはなぜか海外に遠征して
見聞を広めてくる習わしがあった様子だったり、
皆変に仲良かったり)をしれて面白い。

さして読む必要はないのだろうが、
無頼派など、日本の一昔(もっと昔か)まえの
作家たちを読むなら、その当時の雰囲気を垣間見るのに
うってつけの本です。

これを読んだことをきっかけに、
いい加減、吉行淳之介にも手を出さねばと思い、
このあと読みました。

志賀直哉、芦田伸介なども登場してきます。

「紳士録」とは、
「存命で活躍している人物の情報を掲載した本」
だそうで、なるほどなるほど。

当時は、まだその呼称なかったのだろうけれど、
阿川弘之さんは、立派なオタクだったようです。

寝る前とか、昼休みとか、トイレでとか
時間のエアポケットを見つけては
ちびちびと読むのがよさそうな本でした。

 

(2019/01/13)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    自然科学・哲学
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

こんなふうに生きたいなという見本になり
食べてみたいという好奇心が湧く本

仕事でレストラン関係のデザインをする機会が、多いのだけれど、
最近している仕事がミシュラン一つ星レストランのブランディングデザイン
ということもあって、積読にあったこの本を手に取りました。
途中までは読んでいたのだけれど。
料理人というのは、こういうものか、
驚き、畏怖の念に包まれました。
そして、こうありたい、
という思いもわきました。
生き方の見本として壁に貼って
每日眺めたいものだと。
情に厚い人格がにじみ出る文ですが、
一方で料理を感性というところにうっちゃらずに
とても論理的かつ洞察的であり
ストーリーのある構成の仕方は、
これこそクリエティビティというものではないか?
と思うところがゆえです。
わたしは、
常日頃、論理とかエビデンスをベースにして
行動することを努めていますが、
一方で判断は、直感でするところも多いです。
それは、アインシュタインが
好きだということもあるんですが
理にかなっている気がするからなんです。
なんとなく。
さて、この本ですが、
私たちが、食として体感できる
理論や努力が紹介されています。
努力という言葉を使うと怒られるかもしれません。
費やした時間がそのまま、美味しさに
反映されるわけではないから。
パリで修行していた時代の話は、
川内 有緒さんの『パリでメシを食う。』という
パリで活躍する日本人10人を紹介した
エッセイ集を想起させました。
人生に関わる本でした。
あ、あと文章が上手な方なんですね。とっても。
poignantでした。
(2019/01/08)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    デザイン
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

半径5メートルくらいの着眼点と
デザイン的考察に収斂していく技術を学ぶ

2001年から雑誌『Pen』に連載されていた、コンセプターという肩書の坂井直樹氏のデザインコラム。
2006年にトランスワールドジャパンより出版。
現在でもブログを更新されています。
装丁は、原研哉
帯のコメントは、元ソニーの社長・会長、
現在、クオンタムリープの社長、出井伸之氏。
原稿がほぼ20年ほど前のものであろうともおもしろい。
理由は、視点です。
腕時計の文字盤、国旗、出入国スタンプ、香水ボトル、道路標識など。
日常にもあふれるものにフォーカスして
デザイン的観点での考察を平易な言葉で短く繰り広げてくれています。
これを読みながら、
「そういえば、昔はMacじゃなくてマッキントッシュと読んでいたなー!」
という感慨も歓喜して、二度美味しい部分も散見。
この雑多な視点からデザインというテーマに収斂していく
技術は、読んで学ぶところが多いです。
ときおりパラパラとめくりたくなるので
目につく場所に収納しています。
学ぶところ多いのですが、
やっぱり情報が全体的に古すぎるから、
おすすめはしないでおきます。
(2019/01/07)

大国の掟
佐藤優

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    歴史・政治
  • 読了時間:
    1.5時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

ニュースの理解が早くなります

今年2冊めの本。

政治・経済における世の中の動きの背後にあるのは
利害以外に、
イデオロギー、宗教、歴史そして地理。

このうち、地理×歴史で世界のダイナミズムを
理解しよう!というのがこの本のテーマです。

アメリカ、中国、EU、日本の
背景、というか足元にあるものを
詳らかにすることで、今とこれからを理解しようとする
ものなんですが、とてもわかり易いです。

海と山の違い(海洋国家と大陸国家)、
歴史、帝国主義とはなんだったのか、
EUが本質的に意味するところとは(ドイツが答え)、
ギリシャを始めとした人工国家が作り出している歪み、
サイクス・ピコ協定がその元凶、等々

知れば知るほど、膝をうつ事実を
わかりやすく解説してくれています。

新聞が報じるものの背景を
読み解く楽しみが増えました。

 

(2019/01/04)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    歴史・政治
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    必読書

教科書最強説は
本当だった

昨年読んだ本は、ここで紹介していないものも含めると
156冊だったんですが、いくつかの本のなかで

高校生の教科書を抑えておくのが基本だし好手

という話が挙がっていました。

具体的には、私の好きな漫画家の
三田紀房氏の『成功の五角形で勝利をつかめ!』では
仕事の教科書が、すなわち学校の教科書だと紹介しています。

それから池上彰と佐藤優の『 僕らが毎日やっている最強の読み方』
こちらはもう小学校のになっちゃっていますが佐藤優と井戸まさえの
『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』

も教科書だぜ、やっぱり、という話をベースにしています。

ということで入手して読んでみました。

「入手」なんて言い方をするのは、
するりと購入できないからなんです。

大きな書店にいかないと取り扱いがないためです。

でも、違法でもなんでもないんで
どうにか手に入れることは可能です。

大きめの書店に赴いて尋ねれば
取り扱いがありますから。

山川出版社の教科書が何かと
取り上げられていますが、わたしが読んだのは

東京書籍のもの。

1909年(明治42年!)の創業の老舗です。

読後や読んでいる間思ったことは、

「こんなにおもしろいものをつまらなく読むなんてもったいない!」

ということでした。

これがおもしろく思えるのは、
社会に大きく関わる心積もりができたからでしょう。

それはつまり社会人になってから、
という意味ではありません。

学生の時分でも、
自分がコミットしていこうと思っている対象が
社会であれば、おもしろく読めるだろうなと思います。

とにかくものすごくコンパクトに
要領よく、わかりやすく、しかも
適切にアップデートされた形で
まとめられています。

政治と経済は、
本質的には、
歴史と地理を背景にした
ダイナミズムを持っています。

それについては
佐藤優の『大国の掟』がおすすめです。

佐藤さん的地政学の入門書とも言える本で
より深く知りたい人に向けた本の紹介もされています。

巻末には、

日本国憲法、大日本帝国憲法、教育基本法などの抜粋もあり、

至れり尽くせりです。

できれば複数の出版社の教科書を読み比べたいところです。

それでもまずは聞いていたとおりに

教科書最高やんけ!

という納得した次第です。

 

(2019/01/04)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    歴史・政治
  • 読了時間:
    2時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

「2018」とタイトルにあるものを
年末に読むもんじゃないけれども

ぜんぜんインターネットに限った分析ではなく
インターネットの動向を切り口として
私たちを取り巻く環境と傾向を
紐解いてくれる本でした。

2019版がでたらすぐに読み切りたいと
反省しました。

具体的には以下の10の
テーマで構成されています。

  1. 仮想通貨
  2. ICO(新規仮想通貨公開)
  3. スマートスピーカー
  4. AI生活
  5. VR
  6. 動画メディア
  7. 5G
  8. LPWA(新しい通信基盤)
  9. ネットワーク中立性
  10. xTech

例えば、スマートスピーカーの米国における
売上の傾向など、意外だったりします
(Amazon echoが70%以上)。

この他、よく目にするけれど、
詳しく知らなかったこと、
知っているつもりだけど
実は知らなかったこと
とうとうてんこ盛りのデータと
分析です。

投資家の方にも
便利な本になるでしょう。

 

 

(2019/01/04)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

理由もよくわからないままに何度も
泣きました。

Forbesで紹介されていたので購入。

結果、何度も号泣という
カタルシスてんこもりのエッセイでした。

著者がパリに住んでいるあいだに出会った、
いつのまにかパリに住み着いた日本人10人の軌跡を紹介する内容。

料理人、スタイリスト、花屋、カメラマンなど。

感動しながら、
自分の世界を
拡張してくれます。

パリに行きたくなってきた……

ということはないんですが、
いろんなところに行ってみたいな
という気持ちは強まりました。

それから
日本でも良いので
いろいろな人の話を聞きたいとも
思いました。

 

(2019/01/04)

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    経営・経済
  • 読了時間:
    1.5時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    必読書

ロジカルに考えるという
基本的な力をつけるための基本書

ある経営者をインタビューしていて
社員全員にまず読ませている2冊のうちの1冊が
この本だったのでわたしも読んでみました。

タイトルが、
「ロジカル」ではなく、
「クリティカル」である理由として

「ロジカルに考察すれば、
自ずと正しい1つの解が導き出せる」

と考えてしまいがちになることを
さけるためだとか。

 

ここでのクリティカル・シンキングの基本姿勢は以下の3つです。

1.何かをするときに(もちろん仕事上で)その目的は何か?ということを常に考えること

2.自分にも他者にも思考にクセがあることを前提として考えること

3.問い続ける

 

その他、大事で基本的なことがいっぱい書いてありますが
だいたい忘れてしまうので
定期的に読むか
ノートに自分なりにまとめて復習するか
ということしておいたほうが良さそうだな、
と自分に関しては思いました。

実践して身につけて筋肉にしていく
ほかなさそうです。

 

(2019/01/04)

新・生産性立国論
デービッド アトキンソン

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    経営・経済
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 読んだ回数:
    1回
  • 評価:
    オススメ

読後に思い出したのは、
「悲観主義者とは、事情に 通暁 した楽観主義者である」

これは、佐藤優氏の
『大国の掟』という著書の中の言葉で、
インテリジェンスの世界での格言だそうです。

日本の未来というのは、
我々が普段は感じることは
あまりないものの、
ものすごく暗い。

「それを乗り越えるためには
こうするしかないやろがー」

というのが、アトキンソン氏の
これら(この本の前に出している
『新・観光立国論』を含めています)
の著書のテーマでしょう。

ちょーざっくりいえば、
戦後の日本の目覚ましい経済発展の
大きな要因は、爆発的な人口増加だという前提
がまずあります。

ものづくりとしての矜持が
反論を盛り上げそうですが、
けっこうしれっとした事実です。

そして問題は、
日本は1348年以降に欧州で起こった
ペスト大流行レベルで、
急激な人口激減をこれから迎える
ことです。

政府が今、やっきになって
外国からの労働力を取り入れようとしては
多民族国家になることを警戒して
反対する力も高まっていますが、
正直、

そんなことを言っている場合ではぜんぜんない

のが日本の近未来です。

ほかにも

「AIに仕事を奪われたらどうしよう?」

という声もちらほらと挙がっていますが、

AIがカバーできるであろう労働力と
日本がこれから失っていく労働力を
比較すると後者のほうが断然多い。

AIが頑張りまくっても
日本は労働力と消費力が激減していくわけです。

これらの事実に
通暁していくこと、
がまず私たち日本人がしなくてはいけないことのようです。

しかしアトキンソン氏は、
こんな日本にも一縷の望みがある
と説きます。

それが、

日本の労働者の質の高さ

です。

一方で、それを殺しまくっているのが
経営者でもあるそうです。

よって、これは
日本の立国論以前に
経営のクオリティを上げるための
啓蒙書とも言えるでしょう。

多くのエビデンスと
鋭い慧眼による
新しい立国論だと読後も
強く思いました。

 

(2019/01/04)