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村上春樹にご用心
内田 樹

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  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    勧めない

五月蝿いけれど、
おもしろい……

 

期待したもの:
哲学者、内田樹(うちだ・たつる)※氏が語る村上春樹ってどんなものか知りたい。
※「いつき」じゃなくて「たつる」さんなんだ!って驚いた。

得たもの:
文学全般(および哲学全般)の知識がある人からみると
どのように村上春樹が見えるのか、また村上春樹はどのように
批評されているのか、ざっくりと知ることができた。

感想:
衒示的なところが鼻についてしまうのだけれど
かと言って、それが説に反論する根拠にはならないし
なるほどそうか!と納得するところもあり、
「ただなんとなく娯楽として読んでいた」
村上春樹作品を
あらためて噛み締め味わう余地を得た。

言われてみれば、
村上春樹の作品には
父が不在である。

そして僕自身、
村上春樹の作品に
体温を感じず、
加藤典洋さんが言う

ここには「人間は生きていない」

という批評には、
同意する。

でも
僕にはそれは
欠落というよりは
ひとつの「チケット」
に感じるところがある。

「これは夢ですよ」

という証明のようなチケット。

それを握りしめているから
安心して没頭し、
安心して帰ってこられる。

それが村上春樹の作品に通底して
ある欠落の意味じゃないかしらと。

 

(2018/09/11)