特に何も強く伝えない絵本
著者のバーナード・ウェーバーは、「The House on East 88th Street」で有名な絵本作家。
本書は、彼の「RICH CAT, POOR CAT」の翻訳されたもの。
1963年に書かれたもの。
読めばわかりますが、POOR CATは別に「貧乏」ではありません。ふつうのストレイキャットです。
ふだんから、良いことも悪いこともありますが、さいなまされて生きているわけではなりません。
実際に、POOR CATである、スキャットには良く笑顔が浮かんでいます。
この絵本は、とくに教訓めいたことも言っていないし、なんなら猫の人生について少々人間目線で歪められて描かれています。
それでも、おもしろいのは、すごく何も言っていないところです。
特に心動かされもしない。それでも不思議と、この絵本を読んだあとに、街中で猫を見かけると、かすかに「スキャット」を思い出します。
そしてスキャットが最後に付けられた名前が、なぜあんな名前なのか、調べないままに、「なんでだろう?」と思います。
大田 2019年115冊目