「ケルト」と言って思い浮かべるのは、一般的にはアイルランド周辺なのではと思う。
例えば、エンヤやU2の音楽であったり、ケルトの十字架、妖精、小泉八雲などなど。
お酒好きの人ならウィスキーやアイリッシュパブを思い浮かべるかもしれない。
しかしこの本によると、アイルランド、スコットランド、ウェールズあたりは最もケルトのルーツからは遠い場所とのこと。
古代のケルト人のルーツはオーストリア東部。そしてハンガリー〜スロバキアなどで鉄器文化を築き上げ、最終的にヨーロッパを移動し、古代ローマ人やギリシャ人に追いやられるようにしてたどり着いたのがアイルランド周辺だそうだ。
その証拠に、ヨーロッパの町の名前(例えばウィーン、パリ、ミラノ、ロンドン)は古代ケルトの言葉が語源になっているものが多い。
そう思うと、我々は知らないうちに古代ケルトに触れている、と言っても過言ではないような気がする。
広くヨーロッパのベースとなった文化にもかかわらず、古代ケルトに関する記述はほとんど残っていない。
それでも古代ケルトの人々が、樹木には神が宿り、「人は一本の木を抱いて生まれてくる」と信じていたことは残っているようだ。
想像の域を出ないような記述も多いが、ケルト文化の入口としてさらっと読むには良い本。
あとは、占い的な楽しみで「自分の木」を探してみるのも楽しいと思う。