以前紹介した、『20世紀ファッションの文化史: 時代をつくった10人 』にあった(多くの)不満が、全て払拭されたファッション史。
よくぞここまでコンパクトにイノベーターたちの要点を短くまとめ上げたなという驚きがありました。
ビジネスパーソンに、ファッションは関係ないかといえば、人々が思い込んでいる以上に重要だと私は考えています。
時計の価格のマウンティング合戦においてではなく、美学と哲学の奥深さを体現するのがファッションという強力な道具だからです。
男女ともにですが、「どう見えるか」ということを欧米では、日本に比べて重視されています。
それは、そのままデザインへの態度にも反映されています。
日本と欧米をありがちに比較するなよと思われるやもしれませんが、日本と欧米企業の代表者たちのプロフィール写真を見比べれば、明らかになります。
グラフィックデザイナーたちもまたアピアランスを軽視している人々が多い。
彼ら・彼女らがフォーカスしているものが外側にあるとしても、ブランドを作り上げていく側という意識が足りないのでしょう。
ファッションというのは、哲学です。且つビジネスです。
そこから学べるものが多い。その入門の入門書がこの著書です。
各ブランド、クチュリエのみならず、コングロマリットの代表たちにまで解説が及んでいます。
さすがの中野香織さん。
大田 2020年22冊目