1870年生まれの日本の哲学者、西田幾多郎の哲学の思想書。もともとは『純粋経験と実在』というタイトルだったのですが、出版社が反対し『善の研究』になりました。
出版は1911年。第一次世界大戦前。
おもしろいことに読んでみても「わかった!!こういうことだ!」という理解には至らず、なんとなくなんとなく考え方が変容する刺激でした。
わたしの好きな言葉にラテン語でCredo quia absurdumというものがあるのですが、「不条理故にわれ信ずる」という意味で、キリスト教関連のものなんですが、それを思い出しました。
本書のテーマは純粋経験というものですが、普遍的なもの対して個にフォーカスを向けたものです。他の西洋哲学の知識を前提とした話もありますが、ぼんやり読んでいると西田幾多郎氏が円を描くことを(円相図)好んでいたこともなんとなく納得していくものがあり、それが何かというとロジックを超えるものが、まわりまわって自分という意識にあるという考えで、じゃあそれなんだろう?という探求であもります。
わたしのロジック以上に非ロジックが大事であるという考えにだんだん傾倒していく追い風や土台になっている気がします。
西田幾多郎氏が禅に打ち込むようになったのは高校の同級生の鈴木大拙氏の影響。
ところで西田幾多郎氏も鎌倉で亡くなっています。研究者や哲学者、文筆家のおおくが鎌倉で暮らしていたようです。辛いときにはよく海にでかけて心を静めていたとか。
大田 2020年228冊目(通算586冊)