BRANDING TAILOR

CREATIVE LIBRARY

乗りもの紳士録
阿川 弘之

Amazonで詳細を見る

  • ジャンル:
    小説・詩・エッセイ
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    オススメ

1973年に単行本が出版されたもの。

70年代ごろの文壇の住人たちの交流を垣間見る、
阿川弘之の乗り物にまつわるどうでも良いエピソード群。

吉行淳之介が車の免許をとった理由、
井伏鱒二の自宅に設置された電話について
(檀一雄の本にも出てきたか?)、
雷が怖い倉本聰、
戦闘機に乗ったとはしゃぐ三島由紀夫など、
くすくすと笑ってしまう話を読みながら、
当時の気配のようなもの
(作家たちはなぜか海外に遠征して
見聞を広めてくる習わしがあった様子だったり、
皆変に仲良かったり)をしれて面白い。

さして読む必要はないのだろうが、
無頼派など、日本の一昔(もっと昔か)まえの
作家たちを読むなら、その当時の雰囲気を垣間見るのに
うってつけの本です。

これを読んだことをきっかけに、
いい加減、吉行淳之介にも手を出さねばと思い、
このあと読みました。

志賀直哉、芦田伸介なども登場してきます。

「紳士録」とは、
「存命で活躍している人物の情報を掲載した本」
だそうで、なるほどなるほど。

当時は、まだその呼称なかったのだろうけれど、
阿川弘之さんは、立派なオタクだったようです。

寝る前とか、昼休みとか、トイレでとか
時間のエアポケットを見つけては
ちびちびと読むのがよさそうな本でした。

 

(2019/01/13)