1974年に初版が出てから
未だに重版を続けているほどの
名著。
パズルのような本なので
トイレで少しずつ読み進めました。
優しく、読みやすい文体は、
東公平氏の翻訳や、
タイポス系の書体によるところも
もちろんあると思いますが、
ボビー・フィッシャーの
「本当の姿」に由来しているのでは
ないでしょうか。
奇行で有名で
政治も絡み、
さまざまな伝説めいた
逸話も多いですが、
何度も実際にあって
交流してきた東公平氏は、
誤伝が多い、とあとがきに
記しています。
チェスは、
ある意味、
資源やパイに限りがある
ことを前提とした、
前時代的ゲームです。
以前は、
AIにまさる、
人間の知性の証でしたが、
1997年にIBMが開発した、
ディープブルーという
チェス専用のスーパーコンピュータが
当時世界チャンピオンだった
ガルリ・カスパロフに勝利しています。
(カスパロフは15年もの間、チャンピオンに
君臨していたすごい名人です。)
ボビー・フィッシャーは、2008年に
64歳でアイスランドで他界しています。
それまではしばらく日本で過ごしていました。
ドラマチックで
ペーソスと情熱を
含んだ人生の、
軌跡が背後にある、
含蓄多き教書です。
ぜひぜひ手にとっていただきたい。