1976年になくなった日本の小説家、檀一雄の料理エッセイ。
壇は『火宅の人』で有名。これより先に『壇』を読んだたため、
『火宅の人』は手に取り難い。
というのも、『火宅の人』は愛人との逢瀬について
描かれた本。実体験を元にしている。
それに対して『壇』は、
浮気されて、あまつさえ、それを本にしたためられて、
ベストセラーになっていまう、
妻側の語りの本。
これを読むと、
ついついアンチ壇の心持ちになる。
それなのに、壇の料理エッセイをなぜ読むのか。
おもしろい、につきる。
しかし、ポルトガルからパリへかけての移動について
語られるとき、
途中から同行されていた
よそこさん(奥さん)のことを
想起して、
軽快な文体なのに
寂しい気持ちになる。
そういう意味では、奥深い。
料理については、
季節ごとに書かれているので、
本で買って、そのへんにおいておいて
時折手にして、
思いつきで料理する参考にされるのが良いかと思う。