1960年代に書かれた幸田文の短編集。彼女の父、幸田露伴の小説はまだ読んでいない。彼の名前からは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の岸辺露伴が思い出されるが、事実、幸田露伴からの拝借らしい。収められた短編の多くが、病気絡みで辛気臭く、うんざりとしそうになるが、読み終わるとある種の心地よさが発生するのが不思議。
人が自分自身ですら生じてもそのまま流して霧散するに任せるような機微を言葉にして形を与えていることにじわじわと感嘆する。加えて、日本的な色気が文の奥の方に香る。この色気については、記憶にとどめていくほうが、人生楽しめるように思う。
ビジネスには関係ないが、お勧めしたい。