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深く考える力
田坂 広志

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  • ジャンル:
    自然科学・哲学
  • 読了時間:
    1時間
  • 形態:
    Kindle
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    オススメ

「小石までが輝いて見えるのです」
とは、どういう世界か

 

この本から得たもの

概要

著者

 

この本から得たもの:

ロジックを捨てることと
言葉との邂逅を求める姿勢、

そして

小石までが輝いて見える世界の存在。

 

本を読む際に重要なことして
積極的な問い」の姿勢を
多くの方が異口同音で
語っています。
(『東大読書』で西岡壱成氏は、
それを「取材読み」と呼んでいます。)

この本もまた、

「自分だけの格言集」を編む
つもりで、本を読む

と説いてます。

そして、文章化することも
勧めています。

その辺りのことを
補完してくれる点でも
有益ですが、

ところで
スティーブ・ジョブスも
「今日が人生最後の日だとして
何をすべきか、すべきではないか」
という問いを毎朝、
自分に問いていたと
いいますが、

実際に「人生最後の日」は
どんな世界か深く考えることを
僕はしたことがなかったかもしれない、
とこの本を読んで思いました。

井村和清の『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』

という本で、
32歳で他界した井村和清氏が、
腫瘍の転移を知り、死を覚悟にして
帰途についた日の夕刻に
見た光景をこのように語っています。

「その夕刻、自分のアパートの駐車場に車をとめながら、
私は不思議な光景を見ていました。
世の中が輝いて見えるのです。
スーパーに来る買い物客が輝いている。
走りまわる子供たちが輝いている。
犬が、垂れはじめた稲穂が、雑草が、電柱が、
小石までが美しく輝いて見えるのです。
アパートへ戻って見た妻もまた、
手を合わせたくなるほど尊く見えたのでした」

僕は、これを読んでから
ときどきを彼のように世界を見ようと
試みています。

電車の中で、
向かいに座って
気だるそうに
携帯画面を見て
ゲームをしている男性や
脚を開いて座る
女子学生、
広告、
窓の向こうで流れる風景、
それらが
自分の世界かた間もなく
消えてしまう
と感じながら観ると
確かに少し眩しく見えました。

田坂広志氏は、
本を読む理由を

「言葉との邂逅」だと

述べています。

こういう言葉との邂逅は、
世界が広がり、深まることでしょう。

こういった
有限性のみならず、
多くの人が語り残した
言葉から得るものの深さを
今一度ありがたく思う契機でした。

この本は。

 

概要

タイトルどおりの内容で
その構成は、
1.「賢明なもうひとりの自分」への気付きとアプローチ

2.「賢明なもうひとりの自分」へ正対するための直感力の磨き方

3.著者にとって特筆しべき「言葉との邂逅」(良書の紹介)

 

著者

雑誌『フォーブス』で連載しているものなどを
合わせた田坂広志氏のエッセイ集。
氏は、アメリカのシンクタンク、
バテル記念研究所の客員研究員であり、
自らが設立したシンクタンク、
ソフィアバンクの代表でもあります。

文章は、散文的。

 

 

 

(2018/09/24)