第二次世界大戦後の1946年に世に出た坂口安吾の代表的な評論。
天皇についても遡上にあげるかなり大胆で切り込んだ内容ですが、坂口安吾らしく堕落という切り口で、彼が看破して啓蒙しようとしているのは、
人々の思い込みの存在
だとわたしは思う。桜はキレイだと疑いなく思うなかれ、と。
ある意味、現在、『ファクトフルネス』という書籍が象徴する「思っているのと事実はけっこうかけ離れているってことを知っておいたほうが良い」というムーブメントと似ています。
堕落やデカダンスにそうそう惹かれないが、そこにある重力を否定はしないし、無視もしない。
一種の快楽も見いだせます。
大田 2020年32冊目