ウィンストン・チャーチルの自伝で、原題のEarly Lifeとあるように、首相になるまえのチャーチルの半生を綴ったもので、退屈かと思いきや、ぜんぜん。
南ア戦争で捕虜になるも逃亡する話などはスリル満点です。
ただわたしは、チャーチルのことをそんなに英雄視していなくて、「あのタイミングでなければ、首相になっていなかった気もしないでもないし、あのタイミングだったから彼の能力を発揮できたということもあろうて」となんとなく思って、別にそれが彼の功績に影を落とすわけではないのですが、「すごい!」という評価に対して、実力を算出するにあたり、なんらかの引き算する要素がある気がするわけです。ショートスリーパーとか見せて、風呂に三時間くらい入っていたりとか、そういうエピソードから。
それでもこの半生は、楽しい。胡散臭いんだけど、なんかすごい叔父の話を暖炉の前で酒や茶を飲みながら年に1度ゆっくりと拝聴する、みたいな心持ちで挑むととても楽しめます。
チャーチル、信用していないが好きです。
大田 2020年95冊目(通算453冊)