これくらい哲学まわりの知識を
系統立てて凝縮した本って他にあるのかしら?
実用的な哲学ガイドの書としては
山口周さんの
『武器になる哲学』
で、これは本当に実利的な本でした。
実利的、と言っても
通底しているのは、
『サピエンス全史』や
『ファクトフルネス』にも
同じテーマがあると思うのですが、
というテーマではないかと思っています。
『武器になる哲学』は、
歴史的流れをベースにはしていないので
そういうものをおさらいするのに、
この高校教科書の倫理は、
この上なく便利です。
たった218ページで
良質なコラムを差し込むことで
幾分かのナラティブの気配を
作りつつも、ソクラテスから
アウグスティヌス、ムハンマドを
経由しながら仏陀、孔子、老荘思想、
ルソー、ジョン・ロック、
カント、ヘーゲルを通り、
日本の西田幾多郎や
吉田松陰もさらさらと触れながら
ウィトゲンシュタインにまで
到達します。
考えてみれば
教科書ほど
編集に労力が
かけれる本というのは
なかなかないのかもしれません。
日本政府の教育方針というものが
教育現場にたいして影響を与えることは
あるのでしょうが、
教科書においては、
むしろ心打たれるほど
誠実に作られている印象がありました。