ビルゲイツが、希望する大卒者全員に贈呈したと帯にあるのですが
彼は、「サピエンス全史」も絶賛していて、この「ファクトフルネス」と
「サピエンス全史」には通底しているものが、あって
それがビル ゲイツの心を強く打つのではないかと思いました。
それは、わたしたちが思い込んでいる世界と
実際との違い、ギャップが深くあるということへの
明晰な気付き。
サピエンス全史では、
狩猟採集民はさして不幸ではなかったどころか
農耕民になってから人類には不幸が発生したこと
など、驚くべき史実(もちろん推測の部分も多いが、それでも多くのエビデンスを基にしている)
が詳らかにされていました。
このファクトフルネスでは
テーマが「思い込みを正す」というだけに
(ニュアンスとしてはそんなに偉そうではないです。ここちの良い、軽快な文体だし、悪質なエゴ、ヴァニティも見受けられません。)
よりフォーカスが小さく、
エリートほど勘違いしている世界の誤解を
ひとつひとつといてくれます。
人間の誤解は本能的なものとして、それを10にカテゴライズしています。
犯人探し本能、焦り本能、宿命本能、分断本能……。
世界はそんなに不幸ではない、
発展途上国は、いまほとんどない、
ページをめくるたびにあなたは驚くでしょう。
加えて、この本の素晴らしいところは、
これがひとつの命の凝縮であるところです。
著者名が3名もいる理由もそこになるのですが、
それは自ら読んで、意味するところを知っていただきたい。
ハンス ロスリング氏のTEDの講演
を観れば、彼の能力の一部をすぐに理解できるので
読む前でも後でも一度見てみることをお勧めします。