続編が2冊でているし、著者による派生本もでているので、そちらから読み始めても良いかも。
今年読んだベスト5に入るかも。
本書は、2005年に出版されたものだけれど、最新のは2016年なので、事例がアップデートされていると思われる。
ただし、おしむらくは、本書シリーズは分厚いのにKindleで出ていないこと。
出版社の森北出版株式会社の主義なのか?
内容は、エンジニアリングな失敗例を200を分析し(分析していくアプローチも巻頭で紹介されています)、それらが41種類の失敗にカテゴライズされる、というもの。卑近な失敗から世界的大事件まで。成功例から人は学ぼうとしがちだけれど、失敗から学ぶことのほうがかなりリアルで実利的であり、かつ、意外にドラマティックである。事故で亡くなったり、怪我をされた方々を思うとドラマティックという言い方は不適切に聞こえるかも知れない。その言葉を選んだ理由は、事故を見るとき、そこに必ず人生が大きく変わってしまった人々を含んでいるということ。それを思うと、分析という情を排した姿勢で接するも、その奥に無数の人生が関わっていることを感じると、敬虔に学ぼうという姿勢になっていく。それがドラマティックだと思うのです。
わたし、中尾 政之さん、好き。
その理由は、本書の目的を、「失敗を起こさない!」ではなくて「うまく設計する」と設定しているところにもあります。
また筆致も心地よい。
余談:読点を「,」としているあたりは学者っぽい。
大田 2019年 152冊目