原題は、Thinking fast and slow.
行動経済学者のダニエル・カーネマン氏による直感(ファスト)と理性(スロー)を対比させながら人間の行動の傾向、不合理さなどを解説している本。
焦点錯覚やプライミング効果、プロスペクト理論など、わかりやすい使える知見がいっぱいなので大満足の本でした。
焦点錯覚などは、わたしたちの幸福にも大きく関わってきます。
だれからが「行動経済学はこの本だけで良い」と言っていましたが、それくらいがっつり広く行動経済学の知見を網羅しています。わたしはカーネマン氏以外も読みますけど。
本の内容から少し離れて面白いのは、アダム・スミスもまた利点と欠点など対比的な2つの視点で人間を捉えていたところです。カーネマン氏も「2つの自己」(ファスト&スロー)という人間の捉え方をしています。ここに誤謬やわかりやすく理解するための強引さではなくて、共通した本質を観る気がします。
そして入れ子みたいな話ですが、カーネマン氏は、ベンサムが快楽と苦痛によって人間が行動を決定することを本書のなかで引用しています。
バランスの良い本に思います。けっこうオススメします。人生が変わると思います。
ダニエル・カーネマン氏がGoogleでこの本の内容について語っている動画がありました。
大田 2020年177冊目(通算534冊)