適応の期待値の二者間でのトレードオフ関係を対立と定義している。
論文的文体&翻訳のためか、ちょっと、けっこう読みにくい。が、どういうときに人は人を殺すのか、知るのは実生活においても、またフィクションを観たり、作ったりする場合にも興味深い情報が得られます。出版は1999年と古いので、興味が分ければ、その後の著者たちの活動を追えば、アップデートできるかも、と思うもその後の著書は日本語ではなし。英語なら2016年に、Martin Daly氏がKilling the Competition: Economic Inequality and Homicideを出している。
復讐についての見解が面白かった。
復讐とは、抑制機能としてかなり有効だということ。それが、現代では国家が肩代わりしていること。しかし被害者の権利が剥奪されれていることに驚く。
殺人というのは、映画やフィクションでは、ずいぶん猟奇的だったり、異常な心理で行われる「特別な行為」として描かれているが、実際には、ふつうの人たちが行っている。じゃあなんでするのか?なんで女の人より男による殺人が多いのか。嬰児殺しは、どうして起こるのか。などなど。
地域差があるのが、なぜか、というのも興味深い。書かれていなかったが、遺伝子の違いもあるのだろう。例えばアジア人と欧米人では、セロトニンのトランスポーターの型の違いが明確にある(要は、欧米人は楽観的、アジア人は悲観的という傾向さがあるということ)。
(大田 2019年 76冊目)