ヴェルレーヌ、坂口安吾というながれでデカダンス文学をちらっと読み続けて太宰治の『人間失格』を読んで、
「うーん、なんというかいじいじしていて苛立たしい!」
という思いが、感心しながらも湧いたのですが(坂口安吾にも近い感情が湧きました)、
井伏鱒二の描く太宰治は、その印象と随分と異なりました。
井伏鱒二の視点から観る太宰治は、ずいぶんと魅力的で且つ母性を抱かせる男でした。
愛おしい気持ちが湧くんですね。どうにも。
いくぶんか恋心みたいなニュアンスが含まれていたのではないか?と勘ぐるほど。
少し太宰が好きになりました。と同時に井伏鱒二も。
どちらももう少しゆっくり読んで血肉にしたい。
大田 2020年 55冊目