経験則ベースに見えて、エビデンスを軽視していない本で、というかすごいのは、平易な文で徹頭徹尾しているところ。
「レジリエンス」とか「拘泥」など、もしかしたら分かりづらいかもしれないけれど、「レジリエンス」は翻訳しないほうが良いのもわかるし、「拘泥」は日本語だし、調べよう。
レジリエンスに関しては、最近はビジネス雑誌などでも頻出しているようですが、「ストレスが掛かっても折れないで戻ってくる弾力」みたいな意味です。
さて、この本のおもしろいところは、平易に見えて、すごくすごくきれいな正解を提示していて、それはこの本の言外のテーマでもあるのであけれど、「生きる目的は、いっぱい楽しんで人生を全うすることでしょ?」というもの。死を忌むべきものとせず、直視して人生という舞台のフレームとしている。
またざっくりした経験則開陳に見えて、著者の新見氏は、知のアップデートに余念がない。あとがきで述べる中国の実情から得た世界観も軽視できない。というか、その探求姿勢は見習いたい。
内容に関しては、「へー」と思うことでも「ほんとかな」という思うことでも、他の本や論文で自分で確かめると良いと思うのですが、(なぜなら楽しいから)、ほとんどエビデンス的には現代の科学と合致するものが多かったです。でも、「節」の精度をあげるための勢いもあるので、一部「それはちょっといかがかしら」と思うところもありましたが、あまり問題ではなさそうです。
他の著書に『死ぬならボケずにガンがいい』というものがありましたが、これとまったく同じことを尊敬する経営者も一緒に飲んでいるときに口にしていました。
本も良いけど、アウトプットせんとあかんでーとか、健康のために気持ち良いことを犠牲にするのもほどほどにね(著者自身、トライアスロンをしている。※トライアスロンは科学的は健康ではない。)等々、ようは「健康のための人生ではなく、人生のための健康だろうて」という姿勢は心地よいのみならず、生きるうえで理想かもしれません。
この本から学ぶべきは、Tipsというよりは姿勢なのではないでしょうか。
(大田 2019年80冊目)