ヨゼフ・ミュラー=ブロックマン(1914〜1996年)は、
スイスのグラフィックデザイナーで、
グリッド・システムを提唱した方です。
グリッド・システムとは、
レイアウトを組む際に
もうける見えない格子状のガイドラインです。
引用:http://minesf.com/resources/cca/2009/11/25/the-grid-system/
曖昧になりがちな
グラフィックデザインに
明確な根拠を欲する
デザイナーたちが、
かならずといって行き着くのが
ブロックマンのグリッド・システムです。
レイアウト・デザインの要諦は、
タイポグラフィと近く、「それを意識されないこと」です。
見る人、読む人が、自然に読めること。
「良いデザインだねぇ」
とか言われたくないわけです。
それは、
デザインが読むこと、見ることを
邪魔するほど存在感をもってしまっている
ことの左証だから。
加えて、
現在のグラフィックデザインは、
1950年前後のスイスのデザインの実績が
底支えしている部分が大きいのですが、
そのなかにブロックマンの
デザインとグリッド・システムが
多く含まれてもいます。
たとえば
こちらのスイスのトーンハレの
コンサートのポスター。
引用:http://www.designishistory.com/1940/joseph-mueller-brockmann/
グラフィックで、音楽を表現し、
それが伝わるというのが、
素晴らしい。
グラフィックデザインの
金字塔とも言えるでしょう。
本書は、
そんなブロックマンの
人物像に迫る内容です。
この本を読むまで、ブロックマンの奥さんが
日本人だということを知りませんでした!
そもそも絵画が好きで
そこから彼のデザインが始まったこと、
仕事や学校へのガッツ、
奥さんである
吉川静子さんの
自宅や、庭に安置された
ブロックマンの墓碑、
吉川静子さんの
アトリエの静謐さ、
等々。
佐藤オオキさんの
ボツ本の読後にも同じものを感じましたが、
アウトプットだけからは
計り知れないプロセスの美しさ、
重要性を読み得るものが多い。
そうありたいと思う人がいたら、
彼らのアウトプットや成果だけでなく、
知り得るならプロセスも知ること
の重要性をこの本から
学んだ気がします。
タイトルにある
というのは、
思うに
に近い気がいします。
マージンがないと
本やよみにくい。
どうように人生もまた
遊びがないと
生きにくい。
(大田:2019年 31冊目)