読んでみて思ったのは、これは関係者向けの本で、桑沢デザイン研究所の学生か関係者だけが読めば良いであろう本だろうということでした。
桑澤洋子さんという方は、第二次世界大戦前後から活躍していた日本の服飾デザイナーですが、ひろくデザインを研究するために 桑沢デザイン研究所を設立された方です。彼女の功績は、日本のデザインを大きく飛躍させましたし、深く掘り下げもしたのではないでしょうか。勝井三雄氏などの著名なデザイナーを教員に迎えて、多くのデザイナーが育つ環境を作りました。
ただ本書は、 桑澤洋子さん自身を掘り下げたもので、彼女の理念やそこから得られるかもしれない智慧などが得られるという感はほとんど感じませんでした。ゆえにオススメしません。
また本文の文字組みはとても読みやすいのですが、キャプションや柱などの文字は小さすぎて、読ませる気がなく、そのあたりにわたしがグラフィックデザイナーたちのおこがましさのようなものをよく感じる仔細で、嫌です。50代以上になるとさらにつらく感じるであろう文字の大きさです。美しく見えるようでいて、読み手を考えないデザインがわたしは嫌いです。
大田 2020年233冊目(通算591冊)