太宰治さんが、心中から生き残って後に、自死を前提に書き綴った作品集。
生きることで頭がいっぱいになるキャンプ場で読むと
何ごちゃごちゃ言うてんねん!
という憤りが湧くので、都会でちびちびと読むのが相応しいかも。
撰ばれてあることの
恍惚と不安と
二つわれにあり
というヴェルレエヌのエピグラフから始まる。
グダグダが太宰治の真骨頂なのだろうから、それはそれで純粋に味わえます。
ただ、わたし、全編通して、感じるいるのは
何故かモテる気配にみちみちしている
ということ。それがどこから来ているのか見当がつかないのですが、
ぱっと思いつくのは、フロイトの言うタナトス。死への欲望を意味するそれは、セックスと関連して扱われることが多い。
実際に、少し昔、日本人の女性は、オーガズムを感じるとき
死にんす
と口にしていたとか何かで読んだ気がする。
現代でも「イク」という言葉は、「逝く」から来ているかも。
だから、ひたすら、漂う色気のもとを追うというのもまた一興な本書でした。
腹たつけど読んでよかったです。
大田 2019年157冊目
(2019/10/02)