登山家というか科学者というか技術者というかな西堀栄三郎さんの指南書。
1972年初版だけあって、古い。松下幸之助さんの時代の気配を感じる。
けど逆言えばクラシック、古典になりつつある。
読んでみて「やはり」と思ったのは、バランスがあることでした。
作中のエッセイの一つにあった『ロジックとノンロジックの調和』というタイトルにもそれが伺えます。
無謀なわけではないが、豪快でもある。
南極観測船、「宗谷」に乗って、西堀さんは南極へ行くのですが、当日何か忘れ物がある気がしたり、不安で落ち着かない。
そんななか「これから先は、何がなくてもやっていかにゃならん。ひたすら創意工夫に頼るしかない」と気づいたら、とたんに落ち着いたという話がありました。
わたしもソロキャンプで一人で山に入ると近い気持ちになります。
「そこでできることしかできないんだな」ってことがもう頼るべきは「知恵と工夫」だけになるんですね。
心理学的なエビデンスのある指南書じゃありません。ただ一人の考えに過ぎません。
でも、頼もしい先輩がすぐそばにいるような心持ちになる本です。
手に取れるところにおいておくと落ち着きます。。
大田 2020年 66冊目(通算423冊目)